今日は今現在のお話し。

つい先日、また通りがかりの人から相談の電話。
野良ちゃんが産んで置いて行っちゃったという猫を保護して、「どうしたらいいか」というので、

保護して里親さんを探してあげて。
ポスター作れば貼ってあげるし、
作れなければ作ってあげる、
デジカメがなければ一度連れてきなさい。

と言ったら本当に連れて来てくれた。

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生後一ヶ月ほど。
ふわふわトラ模様の男の子
きゃ~~~~かわいすぎるぅ~~~~~~

大丈夫。
こんなに小さくてこんなにかわいいなら余裕で里親さん見つかります。


でも私にも経験あるけど、初めて子猫を拾ってしまった時の焦りとか、不安とか、
その命の大きさに「誰でもいいからもらって」状態になってしまう。
「一応作ってみました」と、その子が不器用ながらに作ったポスターを預かった。

しかし早々にわんちゃんがいる友人宅で話しがある、
見てみたいと言われてるのでお試しで預けようと思うと相談された。
ところが朝から夜6時くらいまでお留守番だけどいいでしょうか?と言うので、

お試しなら何もすぐに預けなくても、
まだミルクか離乳食なんだし、
これくらいの子は育ち盛りで、数時間おきにミルクをあげなければならないはず、
あと半月くらいは大事に育てて、それからお試しにしなさい、
とアドバイスしてあげた。




その夜、保護した女の子からメールが来た。

「例のわんちゃんのいる友人のうちで、家族でなんとか協力するから、
 とりあえず1~2週間様子を見させてくれというので、預けることにした」と。

わかりました。

でもそれが大事なんです。
私なんてひとりで乳飲み子を育てる場合もある。
家族がいて、皆で協力し合えば、ひとりよりもっとうまくやっていけるはず。
「留守番ありき」でなく、
子猫のためになんとかしよう、という気持ちを引き出すことが大切です。
その子はそこのお友達のおうちで決まることでしょう。

「ではポスターはがしておきますね^^


あと2週間もしたら、
「決まりました」というメールをもらうに違いない。

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まだ名前のない「ナナシ」ちゃん。


2010/5/15


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カスミ荘のママの知り合いのおうちで、物置に野良ちゃんが3匹の子猫を産んでいってしまった。
そのうち1匹は早々に里親さんが決まり、残り2匹の里親さん探しをお手伝いすることに。
茶トラちゃんがオス、黒猫がメス。もう1匹は白猫だったという。


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かわいいねぇ~~~

それにつけても同じ親から、白・黒・茶トラが産まれるって、
猫の毛色の遺伝ってどうなっているんだろう。


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ネットの写真を見て申し込んできてくれた女の子(Wさん)が、黒のメスをもらってくれた。


そちらのお宅には、先住猫でやはり真っ黒な2歳のオス猫がいるらしい。
名前は「レイちゃん」。零(ゼロ)と書いてレイ。
レイちゃんがそこのおうちに来たいきさつを聞いて、私は顔をしかめた。


Wさんが家に帰る途中、道端にダンボールの箱がありカラスがたかっていた。
不審に思ってダンボールに近づいてみると、
中には子猫が4匹、、、、
しかしすでに3匹はカラスにつつかれ死んでいたらしい。
Wさんは残った1匹をかかえ、家までバスに乗らず20分かけて歩いて帰ったという。

それが先住猫のレイちゃん。


たとえば自分に責任のない野良ちゃんが、自分の家に子猫を産んでいったとしよう。
保健所に持っていくのは殺されるからかわいそうだ、
「誰かが拾ってくれるだろう」と、どこかに棄てても、
必ずしも誰かが拾ってくれるとは限らない。
大半はこのようにもっと悲惨な死に方をするか、
万が一生きながらえても過酷な野良人生を送らなければならなくなる。
更にその野良が、再びかわいそうな野良を生み出す原因にもなり、
棄てたその人は悪循環の元凶を作っていることになるのだ。

私は過去に動物愛護団体のシンポジウムにも参加したことがあり、その時に確認したことだが、
現在動物愛護の立場からでも、

「遺棄するならば処分した方がよい」


ということになっている。

最初にそう聞かされた時は私も耳を疑ったが、今ではその意味が理解できる・・・



先住猫のレイちゃんと仲良くできるかな?

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その後Wさんから「名前が決まりました」とメールが来た。

名前は「壱」とかいて「イチ」ちゃん!
零の次だから壱(イチ)か。(笑)


初日はお互い威嚇しあっていたらしいけれど、
あっという間に仲良しになったという。
イチちゃんはレイちゃんにゴロゴロとすりより、
レイちゃんもオスなのに、母親のようにイチちゃんの身体を舐めてあげているのだそう。

イチちゃんよかったね、やさしいおにいちゃんができて。


2010.6.19




◇保護猫じゃないけど、里親探しにかかわったにゃんこは、「よその猫」のカテゴリで保存しておきます。



ペットショップに貼ってもらったターニャの「猫もらってください」のポスター。
実はそれをを見て、電話をくれた人がいた。



片目が不自由なことはマイナスではあるが、それを気の毒がって気にかけてくれる人もいる。
お電話くれた人は、すでに4匹の猫を飼ってはいるが、ターニャを不憫に思って「いちど見せに来てください」と言ってきてくれたのだった。

「ただし主人に言うと反対されるので、主人がいない時にこっそり来てください(笑)」


その人~Kさんの猫もすべて拾った猫で、4匹のうち1匹は目が見えないのだという。

「でも家の中でまったく不自由なく暮らしてるのよ」



それで同じ目に障害があるターニャを気の毒に思ってくれたのだ。
私は藁をもすがる思いでKさんのご主人のいない日に休みを取り、会いに行くことにした。



ところが約束の日の直前、Kさんより申し訳なさそうにお電話があった。

「ダメだしもらうのを覚悟で主人に話してみたんだけど、やっぱりどうしてもダメだと言われてしまって・・・期待させちゃって本当にごめんなさいね。」


いえいえ、、、
お気持ちだけで充分ありがたいです。

でもせっかく仕事も休みをとってしまったし、目が見えないという猫ちゃんにも会ってみたい。
それでターニャは連れずに、私ひとりでKさんに会いに行った。



DSCF2627.jpg チーちゃん


陽当たりのいいアパートの1室、Kさんのところの猫は皆のんびりとくつろいでいた。


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目が不自由だというミミちゃんには、眼球がまったくなかった。

もしやうっすら影が見えるのかと思ったら、これではまったく見えないに違いない。
ミミちゃんは来客の私に不安な様子で、しきりに部屋をぐるぐると回っていた。
でもどこにもぶつかることはない、家の中を把握しているのだろう。
ミミちゃんをKさんが抱っこしてくれてやっと写真が撮れた。



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この中にターニャが混じったとしても、それはそれでいいだろう。
でもここはミミちゃんが大事にされているおうちだ。
ターニャにはきっと違う場所があるんだろうな。

そう納得して私はKさんの家をあとにした。



Kさん、ありがとうございました。
お気持ち、大変ありがたかったです。
ターニャの里親さんが決まったら、Kさんにも必ずお知らせしますから。



2010/9/17

ジジちゃん改めレイちゃん保護のおばあさん、

お孫さんもいて、今はグランドゴルフに夢中な70代の方だが、
どこか洋風の顔立ちで若い頃はさぞ美しかっただろうと思われる、
イメージ的にはエイリアンの「シガニーウィバー」似のおばあさんだ。

今後もよく登場しそうなので仮名を「シガニーさん」としよう。


そのシガニーさんの家に、レイちゃんやらゆめちゃんやらを次々連れて来たのが人懐っこい茶トラのオス猫~仮名大ちゃん~だった。

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どこぞの迷い猫に違いないと、チラシを貼ったり近所に配ったり、
獣医師会のHPに掲載したりしたけれど一向に飼い主は見つからない。
(ゆめちゃんの里親さんもまだ見つからず・・・)

そんな話を私がお世話になっているボランティアグループの先輩のハッチーさんに相談してあったことから、ハッチーさんから「去勢手術をやらないか」と持ちかけられた。


隣町のボランティアグループの方から、たまたま特別価格で手術ができる枠があるということで、
色々ついでもあるのでその子を連れて行かないかと声をかけてもらったのだった。
手術は予約制なので、すぐに捕まる子がいい、
シガニーさんのところの茶トラくんは、ほぼシガニーさんの家の飼い外猫状態になっていた。
それで先日の祝日、朝早くに待ち合わせて茶トラの大ちゃんの手術をしに行くことになった。


絶好の行楽日和、こんなことでもなければ早起きもしなかったけれどなんて気持ちのいい気候。
車を走らせて「ああこれが普通のドライブだったらなぁ~」などと思っていたが、



車の中ではハッチーさんとの雑談に花が咲き、

手術をしてもらうI病院のあまりの立派さに目を見張り、

その後そちらでお世話になったグループの方の家に移動して猫談義、

お昼にお寿司まで出してもらってすっかり行楽気分。(笑)


私はこの日3時から電話とガスの工事の予約を入れてあったので、
そのギリギリまでおしゃべりを楽しんできた。

そのついでにもう1匹メスの避妊手術の予約まで取りつけ、
その日の夜にはあっこちゃんの公園のメス猫(お腹が大きいと思われる)を連れて再び隣町へ。
メス猫(こぼんちゃん)を置いて、手術が終わった大ちゃんを連れ帰ったのだ。



この日も夕飯は食べる暇がなく、合計2往復してやれやれな状態だったが、、、

シガニーさんの家に帰ってきてキャリーを開けると、
玄関先で大ちゃんは猫得意のノビのポーズをした。

そしてシガニーさんの出したカリカリを食べたのだ。

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ああ、よかった、大ちゃん元気だ。

シガニーさんは、
「この子の飼い主さんは見つからないと思います。これからもうちで面倒見ますから」と、腹をくくったようにそう言った。


シガニーさんがそう覚悟したことの裏には悲しい思い出があったのだ。



2010/11/3

以前シガニーさんから1匹の白い猫の話しを聞いたことがあった。

シガニーさんが「忘れもしない」と言う、、、近所の飼い猫のこと。
何年か前の冬のことだったらしい。



近所に住むその白い猫は、家が建て替えになり家人は一時的にアパート住まいとなった。

するとそのアパートに入れてもらえないのか、白い猫はたびたびシガニーさんの家に来るようになった。


「その時は時々ご飯をあげたりしてたんですが・・・」


しかしやがてその家が出来上がっても、相変わらず白い猫はシガニーさんの家に来続けていたという。

「でも飼い主さんのいる猫だったから、おうちへ帰るようにいつも追い返していたんです」


季節は冬の寒い時期で、そのうち白い猫は鼻水を垂らしながら具合が悪そうになっていった。
シガニーさんは段々不憫に思えてきてなんとかしてあげようか・・・とも思ったのだが、
他人の猫を勝手に治療するのもと思い、
やはりおうちへ帰るように促していたらしい。


「結局家を新築した途端捨てられたも同然だったのでしょうね。
家には入れてもらえず治療もしてもらえず、その子は死んでしまったんです」



その思い出がシガニーさんを縛り付けていた。

それで大ちゃんを面倒みようと心を決めてくれたのだった。。。



シガニーさんの家にはメスのチビちゃんという飼い猫がいる。
大ちゃんは外猫のままだが、物置に大ちゃん専用のベッドも発泡スチロールで作ってもらった。
ご飯は毎日もらえるし、雨風も、冬の寒さもしのげるだろう。
去勢手術も済ませたから、メスを探して遠くに行ってしまうこともない。

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私はシガニーさんに会ったばかりの時に聞いたその猫の話が忘れられなかったので、

「あの白い猫ちゃんの分までかわいがってあげてください」

と、声をかけたのだった。



それにしてもそこの家の人は、新築した家を汚されるのがいやだったのか、、、
なんて自分勝手な飼い主なんだろう。

その悲しい白い猫の話は、私にとっても忘れられない話になっている。







猫のボランティアというと、餌やりから保護、避妊去勢、里親探しとものすごく大変なことのように考えがちだが、人それぞれの出来る範囲、得意分野でやることがまず第一歩になる。

私の場合もまずは「餌やりさん」の手助けをしたいと思ったのだが、
自分では毎日決まった時間に餌をやるなどという仕事は到底できなかった。

それで保護した子猫の里親探しならとはじめたことが、今に至っている。


    

エチカさんつながりのボラ仲間で、フードを安く分けてくれるサスガさん(仮名)という人がいる。
サスガさんは下半身不随の猫を飼っていて、朝晩必ず排便をしてあげないとならなかった。
サスガさんは、TNRや子猫の里親探しとかはしていないが、

「私にできることはないかと考えてフードの販売をはじめた」

という人だった。
サスガさんは昼間の仕事は別に持っていて、フードの販売といってもほとんど儲けはない。
私達ボランティアへと高級フードを仕入値同然で斡旋してくれるのだ。
野良猫への餌代は餌やりさんの自腹で、お世話している猫の数にもよるが、毎日の餌代は月に数万円は当たり前だ。
「猫に食わせるために働いている」ような人を私は何人も知っている。

形は違えど、サスガさんがやっていることも立派なボランティアなのである。



先日エチカさんと一緒にボラ仲間のところにフード買いに行って来た。
サスガさんとは別のルートで、こちらはロイヤルカナン専門のところ。
ロイヤルカナンは私から言わせると目が飛び出るほど高級なフードで、普通ならとても手が出せないところだ。

うちのオージは胃腸が弱いのか、常にウ○チがゆるかったのだが、ロイヤルカナンを食べさせた時には普通のウ○チになったのだ。
猫のフードは「安かろう悪かろう」があてはまると、獣医をやっていた知り合いから聞いたことがあったが、
この時はまさに「なるほど」と思った。
こちらもほぼ仕入値同然だろうお値段で譲っていただけるので、こんなありがたいことはない。


フードを買いに行く場所は車で40分、その地域で猫のボランティアをやっているKさんのお店。
Kさんとは電話で何度も猫情報をやりとりしたことがあったが、この日が初対面だった。

カフェが併設された洒落たブティック―――それがKさんのお店だった。

おいてある洋服はデザインの凝った高級なものばかり、
Kさん自信もおしゃれな洋服に身を包んで、シャキッとしていて、
とてもボランティアをやっている人には見えない。
いつも電話で話していた声でイメージしていた姿とは大違いだった・・・

やなぎさんなんかはいつもぼろぼろの服着てくたびれてるもんなぁ~・・・


そのカフェでエチカさんとランチをいただくことに♪
ランチは健康的で安心して食べられるやさしい味だった。

1108 015 日替わりランチ1,050円 味噌汁、コーヒー付き



そこには保護されたばかりのキジトラの乳飲み子兄弟がいたので見せてもらうと・・・

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ううう~~~~~かわいい!!!


チビちゃん達を授乳するKさん。

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この子達ももう少し大きくなったら里親探しだ。
それにしても、こんなに涼しくなっても子猫が産まれているとは・・・



そのカフェから少し離れた場所にKさんのフードを置いた店舗があり、
その上のアパートの1室で貰い手のない成猫が保護されているという。
初めて訪れた私はその猫部屋も見せてもらうことにした。

中に入って、、、私は目を見張った・・・・2LDKほどひろびろとした部屋はまさに猫のアパートになっており、猫達が思い思いの場所でくつろいでいる。
見知らぬ人間の訪問に隠れたりする子もいるのですべてを確認できなかったが、全部で20匹ほどいるという。



こんな人もいるんだなぁ。。。。


Kさん、猫のためにありがとうございます。
それからフードをありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。



2010/11/7


仲間のあっこちゃんが毎日餌やりをしている近所のM公園。

去年、そこの公園が設備の老朽化や、地震の時の一時避難場所として見直しがされたことを理由に、リニューアルの計画があることを知った。

それに伴い、新しい公園を作るための「ワークショップ」が、市の公園設備課の主催で行われた。
近隣住人が集まって、どんな公園にしたいか意見を出し合って、
新しい公園の計画案とするのだ。



M公園には20匹ほどのホームレスの猫達が暮らしている。



公園のリニューアルとなると、その話し合いの中で、当然猫達への不満も出るだろう、
一斉駆除などという話が出たら大変だ、

ワークショップは自由参加で、興味のある人は誰でも参加していいことになっていた。
私はすぐにあっこちゃんにそのことを知らせ、
ふたりでワークショップに参加していたのだった。

そうすればその時、市の公園設備課の人と面識もできる、
猫達にとって最悪の状態にならないよう根回しもするようにした。


しかし、予算が下りるのは2年後の話しで、
とりあえずあとはその時に考えよう、とあっこちゃんと話していたのだった。


それが去年の今頃のこと。





ところが市の予算が下りるのが一年早まり、
来週から少しずつリニューアルの工事が行われることになったと、あっこちゃんから連絡を受けた。


「工事現場は囲われて、人が出入りできないようになるので、その前に猫ハウスを移動したい」


そうあっこちゃんから相談され、現場が囲われる前日の夜、あっこちゃんと一緒に猫ハウスを移動した。

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M公園は、去年の冬、ピョン吉とテンちゃんとチャムの3匹を連れだした公園だ。


背の低いつつじの木が茂った中に、猫ハウスは点在している。
今回工事対象となったエリアから、4個の猫ハウスを動かし、別の茂みの中へ隠した。
猫達は自分のハウスをわかって一緒に動いてくれるだろうか。

私は普段公園の猫のお世話はしていないので、その日初めて猫ハウスを見たのだった。
発泡スチロールに出入り口の小窓をつけ、周りを黒いビニール袋で覆ってある。
中には毛布やフリースを敷いてある。
更にあっこちゃん達は、冬の寒さがきつい時にはそのフリースの下にホッカイロまで詰めてあげている。


なんと手のかかる作業だろう。


今はこうして少しずつ猫ハウスを移動していけばなんとかなるけれど、
公園がすべてリニューアルされたら、この子達はどこで暮らすのだろう。
新しい公園は、防災上周りからはすべて見通しをよくして、
低い木も取り払い、スカスカな造りになる予定だ。

そうなったら猫ハウスを隠して置く場所などなくなってしまうだろう・・・





近くのベンチでどこかのじいさんが、誰もいないのにひとりで大声をあげて怒鳴っていた。

「いつもいる酔っ払いだから気にしなくていいですよ」とあっこちゃんが私に声をかけてくれた。
・・・気にするなといわれても、夜の公園にあんなのがいたら恐い。

あっこちゃん、毎日こんなことしているなんて・・・えらいなぁ・・・






翌々日、公園の前を通ると、私達がハウスを動かしたそのエリアはキッチリと白い壁に囲われて、
まったく中に入れない状態になっていた。


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猫達は移動した猫ハウスへとちゃんと入っているらしい。
とりあえず、よかった。。。




あっこちゃん達の餌やりの仕事はいつまで続くのだろう、
新しく猫が増えさえしなければ、いつか終わりの来る仕事なのに、
絶えず猫が捨てられたり、迷い込んできたりしている。


そしていずれ猫達に行き場がなくなった時どうすればいいのか、
今はどうすることも出来ないし、その先も靄(もや)に包まれたように見えない。
ただぼんやりとした不安に襲われるばかりだった。



2011/1/20

ある時突然知らない人から電話をもらい、「猫の里親を探してくれないか」と相談を受けた。

ちょっ・・ちょっと待ってください、まずはどこで私の電話番号を?と聞くと、

市の愛護館の掲示板に掲示してある中で、「ボランティアさんは誰ですか?」と職員さんに尋ねたのだと言っていた。


・・・・あ~・・・なるほどね。


普通なら「お手伝いはしますけど自分で探してください」と言うところだが、
話しを聞くとその人の場合はちょっと様子が違っていた。


その人~お名前をタミエさんとしよう~タミエさんご夫婦は何匹か猫を飼っているのだが、
ご近所と猫のことでトラブルがあり、今まで出入り自由にしていた猫を室内飼いにすることにした。
ところがそのうちの一匹がどうしても外に出たがり、困り果てている、
その子をもらってくれる人を探している、ということだった。


うーーーーん・・・わからなくもないが・・・・


とりあえずその猫を見せてもらおうと、ご自宅へ行く約束をした。




タミエさんのお家は借家で、二階建ての二軒長屋の二階部分に住んでいた。
下二軒はご商売をしている。
家にあがらせてもらうと、小さなお勝手に、二間続きの畳部屋があるだけでお世辞にも広いと言えない。
驚いたのがそこには、猫が・・・猫が・・・・・


いったい何匹いるだろう・・・・・


大きい猫が5~6匹?いやもっと?・・・子猫も5~6匹、
猫がうじゃうじゃいるのだ。

つまり6畳二間程度の家に、人間ふたりと猫十数匹が暮らしていたのだった。



部屋の周囲には形の揃った猫トイレがきれいに配置されていて、
こんなに猫がいるのにまったく臭わない。
もともと猫は犬のように、体臭というか、独特の動物臭はほとんどないのだが、
トイレもこまめに掃除されているのだろう、
全然臭くないし、家の中も小奇麗に片付けられていた。



問題の猫は黒猫の小梅ちゃん。
1歳くらいの女の子だった。


借家で猫を飼うことは大家さんも了解済みで、
真下に住んでいる飲み屋さんの女主人には、猫をかわいがってもらい上手くやっていたという。
ところがその隣りに、最近自営の商売屋さんが引っ越ししてきて、
その店のあるじから猫のことで毎日のように苦情を言われ、
とうとう根負けしたタミエさん夫婦は、猫を外に出さないようにした。

しかしこの小梅ちゃんだけはその後も外に出たがって、毎日鳴いてどうしようもない、
仕方がないので飼ってくれる人を探そうと思う、という話だった。



成猫の小梅ちゃんの里親さんを探すのは難しい、
それにタミエさん達も手放したくて手放すわけでもないようだ、、、、

私はこんな提案をしてみた。



「小梅ちゃんを疎開させてみてはどうですか?」



とりあえず現状の環境を変えて、違う環境のもとで家の中にいることに慣らせてみる、
その後、もういちどタミエさんの家へ戻して様子をみるのだ。




「はぁ・・・・」




タミエさんご夫婦はなんとなくそれに同意をしてくれた。
小梅ちゃんを一時わが家で預かってみてもいいだろう、
効果があるかどうかはわからないが、やってみる価値はあるだろう、、、



「ところで小梅ちゃん、避妊手術はしてありますか?」


「・・いえ、していないんです。」




なんですって!?
それじゃあ外に出たがるのも無理はない、発情してるからじゃないのか?
里親さんを探すことになったとしても、避妊手術をしていなければならない。
小梅ちゃんをこのまま置くにしても、里親さんを探すにしても、
何はともあれ避妊手術はしなければならないのだ。


ところがタミエさんから、

「実は・・・」

と意外な話しが出てきた。



その苦情を言われ続けた店のあるじから、挙句の果てに猫に屋根裏を荒らされたという理由で、
その修理代を請求されたというのだ。
タミエさんは仕方なくお金を払い、そのせいで今避妊手術をするお金がないと打ち明けた。


「いったいいくら払ったのですか?」


「・・・・50万円です・・・」


「えっ・・・(絶句)!」



小梅ちゃん
小梅ちゃん


[疎開]
空襲・火災などによる損害を少なくするため、都市などに集中している住民や建物を地方に分散すること。「工場を―する」「学童―」「強制―」



50万・・・・金額を聞いて驚いた。



屋根裏の修理ごときにそんなにかかったのか?

ちょっと待てよ、、、しかも借家じゃないか、
借家であれば大家さんに請求するのが本当じゃないのか?



「なぜそんなお金を不用意に払ってしまったんですか?!」



タミエさんは、私が言ったのと同じことを、散々周りの人からも言われたらしい。



「猫を守るためだったんです」



よほどその店のあるじが恐かったのだろうか、
どんな苦情の言われ方をしてきたのだろうか、
私にはわからないが、その苦痛から1日も早く逃げ出したかったのだろう。

そのお金さえ払えばもう何も言われまい、
猫達と今まで通り平穏に暮らしたい、
その時はただそれだけの思いで、お金を払ってしまったのだとタミエさんは言った。

タミエさんよりも年下であろうご主人は、
タミエさんの隣りでずっと無言のままうつむいていた。




そもそもタミエさんご夫婦が猫を放し飼いにしていたことが、ことの発端ではあったが、
私は途端にタミエさんに同情してしまった。
憎むべきはタミエさん夫婦から大金を奪っていった店のあるじだ、
少なくともこのご夫婦は猫達を愛している。


なんとか力になってあげたい・・・・



わかりました、でもここはとりあえず小梅ちゃんの避妊手術を先にしましょう
それでも外に出たがるようであれば、疎開という方法でしばらく環境を変えてみましょう
最終的に里親さんを探すのは、そのあとでまた改めて考えることにしてはどうですか





私は格安で避妊手術をしてくれる獣医さんを紹介した。

避妊手術の費用は病院によってまちまちだ。
飼い猫では通常2万円から、高いところは4万円ほど請求される。
または手術自体が安くても、ワクチン接種済みが条件の獣医さんもある。
その場合、手術代にワクチン代の1万円(2回分)がプラスされるので、やはり2~3万円はいってしまう。

しかし野良猫の場合はワクチンなど打っている場合はない。
なおかつ静岡市では野良猫の避妊手術の場合、市から助成金が出るため飼い猫よりも安い費用でやってもらえるのだ。
小梅ちゃんを野良猫扱いにしてもらえば、手術代は安く上がる。


当時私がお世話になっていた赤ひげ先生は、どんな子を連れて行っても「野良猫価格」でやってくれたのだ。


その金額を言うと、タミエさんご夫婦は目を見開いて驚いた。

「うちはいつも24,000円でした・・・」




タミエさん夫婦がその金額なら、と言うので、
早速私が小梅ちゃんを預り、避妊手術をすることにした。

キャリーバッグに小梅ちゃんを入れ、タミエさんの家をあとにする時、
タミエさんのご主人はいつまでもバックミラーの中で私を見送っていた。




(続く)

私はすぐに赤ひげ先生に手術の予約を要れ、翌日には手術をしてもらった。


朝、出勤前に小梅ちゃんを病院へ連れて行き、その日の夜、仕事が終わってから迎えに行くと、
赤ひげ先生から、

「よっつ入っていたぞ。」


と聞かされた。


 ・・・ なんと小梅ちゃんは妊娠してたのだ。



「見てみるか?」

赤ひげ先生がそう言うので、見せてもらうことにした。


先生は小梅ちゃんから取り出した子宮を見せてくれた。
子宮は血を洗い流してあったのか、血液はついてなくて、
灰色の薄いチューブのような中に、小芋ほどの大きさの丸い塊が4つ連なっていた。
猫の子宮を見るのは初めてだった。


私は不思議に恐さも気持ち悪さもなく、そしてかわいそうだという気持ちさえ微塵も起きなかった。
それよりも産まれなくてよかったという安堵の気持ちでいっぱいだったのだ。




その日は小梅ちゃんをわが家へ連れて帰り、ゲージに入ってもらい、
次の日からはゲージから出して、しばらく家で様子をみることにした。

うちの子達が小梅ちゃんに対して威嚇するので、小梅ちゃんはたいそう居心地が悪そうだった。
しかし、タミエさんが言うような、外に出たがったり鳴いたりすることは全くなかった。


そこで私は早々にタミエさんに連絡を取り、一旦タミエさん宅に戻すことにしてみた。

小梅ちゃん わが家での小梅ちゃん




タミエさん宅に連れて帰ると、小梅ちゃんはまるでよその家に来たかのように、
キャリーから出るとすぐに押入れの奥に隠れてしまった。

小梅ちゃんは異常に車が嫌いな猫で、
車に乗せると5分もしないうちに車酔いし、「おえっ」と吐いてしまう子だった。
そこで小梅ちゃんにはまだ手術跡の抜糸が残っていたが、
小梅ちゃんを再び病院に連れて行くは無理だと判断し、(それに抜糸の際に余分にお金がかかっても困るので)私はタミエさん夫婦に抜糸の仕方を教え、あとの処置をやってもらうようお願いした。




タミエさんに小梅ちゃんが妊娠していたことを話すと、タミエさん夫婦さほど驚きはしなかった。


それどころかタミエさんのところにもう一匹、いかにも妊娠しているかのような、お腹が垂れ下がっている猫を見つけてしまったのだ。。。


「・・・もしやこの子も妊娠していないですか?」


そう聞くとタミエさんは、
「はい、そうだと思います」と答えた。



「どうするんですか、もうすぐにでも産まれそうなお腹じゃないですか?!」


「・・・今はもう余分なお金がないので、うちでなんとかします」


「・・・・・・・・・」


タミエさんの家にいる子猫達は全員目がくしゃくしゃしていた。
猫風邪にやられてどんどん伝染っていってしまったのか、、、
それよりも子猫達を医者に連れて行くお金もないのかもしれない。



私はタミエさんにこんな話しをした。



昔の人は皆猫を飼っても避妊手術などしませんでした

その代わり、産まれたばかりのまだ目も開かない子を川に流して処分しました

川に流すのは、万が一助かってしまったことを考えるといい方法とは思えませんが、

昔のやり方も方法のひとつですよ
 と。




タミエさんはうなずいて「ありがとうございます、主人と考えます」と言った。


    






それからしばらくしてもらったタミエさんのメールには、
小梅ちゃんの近況が書かれていた。


今まで子猫にまったく興味がなく、近づくことも嫌っていた小梅ちゃんが、
なぜか急に面倒見がよくなって、子猫の世話をするようになった、と。

「グーグーだって猫である」に登場するタマをいうメス猫も、
避妊手術後、子猫の世話をするという同じ状況になっている。
子宮を取ったことで一時的に出産した気分にでもなるのだろうか。


そして小梅ちゃんは以前ほど外に出たがらなくなった、
里親さんを探さなくてもよくなりそうだ、と。



小梅ちゃんははなおのように全身真っ黒で、金色の目のきれいな猫だった。

小梅ちゃんみたいにきれいな黒猫はそういません
大事にしてあげてください


私はそう返信した。


    


ところで今にも産まれそうなお腹をしていた例の猫はどうなっただろうか。


その猫はそれからすぐに子供を産んだようだった。
やはりあのお腹は出産間近のお腹だったのだ。
そしてその子供はタミエさんのご主人が、バケツの水に沈めて処分した、と話してくれた。




私があんなアドバイスをしなければ、タミエさん夫婦は猫の子を育てたのかもしれない。
しかし・・・猫の命も大事だが、世話をする人間の生活の方が大事だ。
それが逆転してしまうことが多頭飼い崩壊ということになる。

私は多頭飼い崩壊したおうちを何度か見ているが、

どのうちもほとんどゴミ屋敷のようで、
要はそこに住む人間のずさんな飼育の果てが多頭飼い崩壊につながっている。


しかし少なくともタミエさんの家は違っていた。


私が初めてタミエさん宅を訪れた時、タミエさんは笑いながら、
「猫のために働いているようなものです」と言っていたが、

タミエさんの家にあがらせてもらって、そこの猫達が本当に大事にされているのがわかった。




そのタミエさん夫婦にそんな決断をさせたことに胸が痛んだ。


でもほっとした自分がいることも確かだった。。。



今タミエさん達はどうしてるだろう。
もうあのアパートの下の住人と争ってはいないだろうか。

いつかタミエさん夫婦が誰かに咎められることなどなく、
猫達とのんびり幸せに暮らせるようになって欲しいと、
私は今も願っている。





2009/10/12



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