みーくんがもらわれ、残り2匹はそっくりな柄の色違い。
手前の黒っぽい方が男の子、後ろの麦わら色が女の子。
チョコレート色とキャラメル色、「チョコ太郎」「キャラメルちゃん」と取りあえず呼んでいた。

みーくんに比べ、おどおどしていた2匹だったが、
うちへ連れてくるとほどなく自由に飛び跳ね、私にも甘えるようになる。



その女の子の方を、今回もやはりボランティア仲間から知り合いを紹介してもらう。
猫を飼うのは初めてだという、商店街で家具や雑貨のお店をやっている奥さんだった。
最初は人見知りをするキャラメルちゃん、心配だったが、案の定、
連れて行くとまず部屋の隅に隠れてしまった。
のちのち話を聞くと、その後部屋中どこを探しても見つからなくなり、
家族を青くさせたという。(神棚の後ろにいたらしい)

キャラメルちゃんは名前を「しまちゃん」とつけてもらい、
その後は商店街の猫らしく、いろんな人が出入りしても人見知りしない猫に成長した。

私はそんなしまちゃんの成長を、そこの奥さんがやっているブログで確認することができた
そう、その奥さんはブログをやっていたのだ。
ブログにはしまちゃんが度々登場し、いつしかそれをこっそり見るのが私の楽しみになった。
私はけしてコメントを残さず・・・柱の影からこっそりと・・・しまちゃん見たさに・・・
まるで猫ストーカー。

里子に出した猫を、ブログで確認できるなんて・・・
そんなありがたい・・・なんてありがたい・・・

すべての里親さんにブログをやってもらいたいと思っているほどだ。


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最後に残ったチョコ太郎は、いつの間にか「ちゃーちゃん」と呼ぶようになっていた。



実は驚くべきことに、ちゃーちゃんは後ろ右脚の先が欠けていた。

最初は切られた(虐待?)かとも思ったが、よく見ると明らかに短い脚先には肉球がついている。
たぶん先天的な奇形なのだろう。
奇形があったために捨てられたのか・・・
いや奇形がなくても捨てらていただろうな。



しかしそんな子の里親さんを探すのは更に難しい。

行きつけの獣医さんには「前脚が欠けているよりは、後ろ脚の方がダメージは少ないんですよ。」と言われ、
ややほっとするも、明らかに走る時は右後ろ脚をぶらぶらさせている。
あまり太らないように、ウェイトコントロールもした方がいいんだろうな・・・
などと色々なことを考える。
そんな余裕のあるおうちに果たしてもらわれるだろうか・・・・

いや贅沢は言ってられない。



そんなちゃーちゃんにも里親さんは現われた。
結婚したばかりの若いご夫婦だった。
奥さんは子供のころからずっと猫のいる家庭に育ったため、
結婚後も必ず猫と一緒に暮らしたくて、そのためにペット可住宅を探したという。

「この子、足に奇形があるんですけど」と説明すると、
そんなことはさほど気にしない、この子がかわいいからこの子でいいです、
と言ってくれたのだ。

このご夫婦にお願いしようと決めた。




ちゃーちゃんをお届けした日、
ご夫婦の部屋は本当に越して来たばかりのようで、
まだ荷解きしたあとのダンボールがあった。
そして居間には新しい猫用のゲージにトイレを用意してくれてあった。
ところがちゃーちゃんは、キャリーバッグから出されるやいなや、
怯えて部屋中を走り回り、お風呂に逃げ込んでしまった。
家ではあんなに懐いていた子なのに・・・どうしたんだろう?

私はちゃーちゃんを捕まえるとこう言って聞かせた。


ちゃーちゃん、

ここがお前のおうちなんだよ

この人が新しいお母さんになるんだよ

この家でいい子にしてかわいがってもらうんだよ!


この里親さんを逃したら、もうこの子をもらってくれる人は現れないかもしれない、
ちゃーちゃんをとりあえずゲージに入れ、奥さんにお願いして、
祈るような気持ちで帰ってきた。



その日の夕方、里親さんからメールが来た。

「ゴロゴロいってかなりかわいいです。今こたつの中で遊んでいます」

えっ?・・・・あああっ、そう。
なんだか肩透かしだが、ま、それならいいや。
猫というのはようわからん。



その後保護したやなぎさんが里親さんとちゃーちゃんに会いたいというので、
しばらくしてまた訪ねてみると、
今度はちゃーちゃんは私達から逃げ回り、抱っこも不可能。
「おおお、おばちゃんのこと、わすれちゃったの~?」

猫とはそういうものか。
名前は虎太郎(こたろう)という、勇ましい名前になっていたというのに。






猫おばさんのMさんから、またまた里親募集のお願いがあった。


DSCF0080.jpg

1匹は白黒ハチワレの女の子(右)、おばさんが餌やりをしている小学校に捨てられていたらしい。
もう1匹は同じく小学校に面したおうちで、猫8匹を飼っているTさんという人から頼まれた。
餌やりのMおばさんをいつもTさんが協力してくれていると言うので、
「2週間うちで里親募集しますが、もしも見つからなかったらお返しします」
という条件付きであずかったのだが、

それが白が多いミケの女の子。(左)

「ぢ、、、地味顔ねぇ~・・・」

子猫はたいがいどんな子猫でもかわいいものだけれど、
この子だけは内心「ブサイクだなぁ~・・・」と思った。
Tさんの前で口には出さなかったけど。

なにしろ耳がやたら大きくて、目は糸目。
鼻の周りに黒いシミがあって、まるで北島サブちゃんのモノマネメイクのようなのだ。
なぜこの子の目はぱっちり開かないのだろう?
その時は「こういう顔の猫なんだ」としか思わなかった。

2匹は初対面で初め「シャー」と威嚇したりしていたが、
すぐに子猫同士仲良しになった。
そして案の定、黒白のハチワレの子がもらわれていく。


ハチワレちゃんは「みくちゃん」というそれはそれはかわいらしい名前をつけてもらった。
里親さんが獣医さんで「手入れのいい猫だねぇと言われました」と報告してくれた時、
なぜか嬉しくて泣けてきたのだった。


そして売れ残ったブサイクなミケはうちの子になっていく。

DSCF0105.jpg
「みくちゃん」



この2匹がいる時、大事件が起こった。

うちの子として置いていた「ハル」という1歳のオス猫を死なせてしまったのだ。
私の不注意で、、、、とてもむごい死なせ方をしてしまった。

ブサイクなミケをうちで引き取ったのは・・・ハルの代わりとしてだった。





売れ残った糸目の三毛。

ハルを死なせてしまったことは、、、
私にとってはまるで拷問のようなひどい仕打ちだった。
なぜこんな思いをしなければならないのだろう、、、

たとえばわが子を自分の不注意で死なせてしまった母親がいるとしたら、
そんな辛い人生はないだろう。


神様がまるで
「死んだ子の代わりにこの三毛の子を引き取りなさい」
と言っているような気がした。



Tさんに「約束の期間が過ぎたけれど、三毛ちゃんの里親さんが見つかりませんでした」
とお電話すると、
当初お返しする約束だったので、
当然Tさんは、「それでは返してください」と言ってくると思っていた。

ところがTさんは私が引き取りの相談をする前に、
「けむさんのところは猫ちゃん3匹だけなんですよね!?
 うちには8匹も猫がいて・・・その子がくるとなぜかうちの子がみんな家出しちゃうのよ。

 お宅で飼っていただけないかしら?」

と言い出した。


「ちょっと待ってください、それじゃあ約束が違うじゃないですか。
 里親さんが見つからなかった返すって・・・」

「でもねぇ、お宅は3匹でしょ。うちには8匹もいて・・・・」


引き取るつもりはあったものの、そう言われて腹が立った。
Tさんは鼻っからこの子を私に押し付けるつもりだったのだ。


「わかりました、この子はうちの子にします!」


8匹の飼い猫がいてMさんの餌やりにも協力してくれるTさんと、
いざこざを起こしたところでなんのメリットもない。
その代わり、今後もMさんに協力してやっていただきたいとお願いし、
私が引き下がったが・・・・なんとなく腑に落ちなかった。




ハルの代わりに来たブサイクな子猫。
当初ハルから1字をとって「ハナ」と名づける。

しかし神がかった才能のある(?)私の従妹から、

「おねえちゃん、ハナちゃんだと名前が弱いよ。もっと強い名前に変えた方がいいよ」

と言われ、「ナナ」 に改名する。


不思議なことに糸目だった子猫の目はうちの子に決めた途端、
パッチリと開いて、徐々にかわいらしくなっていったのだ。

hana.jpg


しかもナナは他に類を見ない特別な才のある猫だった。

大きくなった猫を里子に出すことを、当時の私はあきらめていた。
しかし大きくなっても性格のいい子は充分里子に出せる。
どんな人が訪ねてきても、誰に対しても臆することなく出迎るナナを、
欲しいと言ってくれた人がその後何人か現れたのだが、
そのたびに「すみません、この子はうちの子なので」と断った。


この子にはハルを死なせてまでうちに来た意味が、
何かあるに違いないと思えて仕方なくて、
ついぞ誰にも渡すことはしなかったのだ。






時々そういった電話があるのだが、
見知らぬ人からのヘルプ。
私は家の前にしっちゅう「里親募集中」のポスターを張り出してあるために、
携帯番号はあけっぴろげ~~
猫を見せて欲しいという電話かと思い喜んで出てみると、
「猫拾っちゃったんですが~」とか、
「こちらで猫預かってくれるって聞いたんですが~」とか、
そんな内容のことが多い。
しぶしぶ「いいえうちは普通のうちです、猫は預かれません、がんばってください」
みたいなことをお話しする。

その時も「助けてやって欲しい」という電話が突然来た。
よくよく聞くと、近所の畑に親猫と子猫が出没してて、
畑の持ち主が捕まえて保健所へ連れて行くと息巻いている、
なんとかしたいがどうしたものか、という内容だった。

当然ながら①親猫は捕獲して避妊手術、②子猫は捕獲して里親探し
とお話しすると、
それらをすべて自分達でやるので方法を教えて欲しい、というのだ。
結局お手伝いすることに。(捕獲器貸し出し)


学習塾をやっているお宅だった。
塾をやっている関係上、生徒にアレルギーの子がいることを心配して、
そこのお宅では猫は飼えないという。
ただし、今まで餌をやってきた責任は取って、親猫は手術後も庭で餌をやりますと。
そうしていちばん最初に捕まえたのが、キジ白猫の男の子。
名前はよっちゃん。
子猫は4匹いて、4番目に姿を現した子だから「よっちゃん」。
四足ともソックスはいている。



捕獲に手間取って、子猫達はもう4ヶ月ほどだった。
しまった、しろうとはこういうところで焦りを知らない。
大きくなった猫は里親さんを探すのが大変だっていうのに。
しかしタイミングよく、以前ドラッグストアに貼りっぱなしにしてあったポスターを見て、
問い合わせてきた親子を紹介してもらった。
聞けば「別に小さい子にこだわってはいない」というではないか。
早速お見合いしてもらった。

よっちゃんは塾で捕獲したあと、1週間ゲージに入れ人馴れをしてもらった。
普通4ヶ月も大きくなった子を、1週間で慣らすのも大変なのだが、
そこのお宅で毎日ご飯をもらっていたせいか、おどおどながらも慣れていた。



そちらのおかあさんにも抱っこされてくれた。
一緒に来た小学生5年生くらいであろう息子に、そのおかあさんが、
「どう?この子でいい?」と聞くと、男の子は「いいよっ」と軽く返答。
「あんた一生面倒見なきゃならないのに、そんな簡単に返事して~」と苦笑するおかあさん。
その場で決めて、その日によっちゃんを連れて帰ってくれた。

普通は「お届けします」と言うところだが、お人柄は間違いない親子ではあるし、
そんな面倒なこといって話がこじれたら大変と思い、連れ帰ってもらった!
あ~~~ラッキーぃっ!!!
こんなに早く決まるなんて~~~!!!



しばらくしてその里親さんから来たメールには、
お布団の上ですっかり家猫になったよっちゃんが!



驚きの姿だった。

そしてもうひとつ驚きの事実を知った。
あの小学5年生くらいの男の子、猫アレルギーだったのだ。
それでも猫が好きで、
「なんとか共存しています」とメールには書いてあった。
アレルギーの子供のために里親を探した塾の猫、
それをもらってくれたのが猫アレルギーの子供とその母親だなんて。

なんだか皮肉な結末。。。。。
その複雑な思いを飲み込んだ私だった。


現在の名前「くまちゃん」
2009/10







よっちゃんが4番目に出てきた猫なら、いっちゃんは一番最初に現われた猫。
サビの女の子、よっちゃんから1週間遅れで捕獲し、うちに連れて来た。
10月の初旬くらいだった。




この子も最初は固まっていたが、よっちゃん同様攻撃的なところはまるでなく、
とてもおとなしくて抱っこもさせてくれる。(尻尾は思い切りお腹にまるまっているが)
やがてだんだんと慣れてくると、穏やかで人が好きな子だというのがわかってきた。

抱っこをする度にグルグルと喉を鳴らすので、まるで持ち上げると音の出るお人形のようだった。

膝に乗せればいつまでもずっと膝の上で、ゴロゴロとくつろいでくれる。
サビ柄は表情がわかりにくく、一般的にはあまり人気はないのだが、
見かたによればその毛並みがぬいぐるみのようにも見える。

かわいいいっちゃん、いっちゃんは癒しの猫だった。

いっちゃんもすでに5ヶ月齢ではあったが、この子なら絶対かわいがってもらえる。
自信を持って人に勧められる。
私はいつものように、家の前のポスター・愛護館の掲示板・ネットなどひと通りのことはやったが、
やはり多少大きくなっているせいか、なかなか飼い主さんが現れない。
待っているだけではダメだ。
思い切って猫の営業に出ることにした。
可能性のありそうな知り合いにあたってみよう。





いっちゃんに遅れること1週間、三毛の女の子が捕まった。
塾の奥さんが名前を「ひなちゃん」と名づける。
はじめぴーぴー泣いてばかりいたことから名づけたんだそう。
(数字じゃなかった・笑)




ひなちゃんをうちに連れて来て、いっちゃんと同じゲージに入れると、
最初はお互いシャーフー言っていた。
塾のおうちの庭ではじゃれあっていたのに、忘れちゃったのかなぁ。

ひなちゃんもいっちゃんと同じく家猫修行をしたのだが、
驚いたことに、よっちゃん、いっちゃんとはまったく異な性格で、
何日経っても慣れてくれない。
じっと固まって抱っこは出来るものの、膝の上で撫でていて「いい調子~」などと思っていると、
途端に態度を翻し逃げてしまう。


う~~~ん、同じ兄弟姉妹でこうも違うものか。

ひなちゃんの怯えようやどうにも慣れない様子から、この子は家猫にせずリリースをしよう、と判断した。
ひなちゃんは女の子だったので、避妊手術をしてからのリリースだ。
もう体重はほぼ2.5キロほどになっていたので手術もできる。
手術後10日間塾の方で預かってもらい、抜糸は私がした。

しかしまた抜糸する時がまた大騒ぎ。
ひなちゃん大暴れで・・・・猫が本気になって暴れるとそりゃ~恐いです。
大人ふたりで押さえつけ、顔にタオル、3人がかりでやっとのことで抜糸成功。


今は放されて塾の外猫となり、毎日ご飯を食べに来ている。
私がつけてあげた100均の首輪をつけて。
もう1匹の兄弟、黒猫のオスのさんちゃん(3番目の猫)と一緒に、
毎日遊びまわっていると塾のご夫婦から聞いている。
ご飯の心配はない、塾のご夫婦がちゃんと面倒見てくれるし、
猫ハウスも作ってもらって、冬はホットカーペットもしいてもらっている。

里親さんを見つけてあげることはできなかったけど、
よかったよかった・・・ひなちゃんはこれでよかったんだよね。。。





私はいっちゃんを知り合いに売り込む作戦を立ててみた。




ターゲットにしたのは会社の先輩の「あやめさん」。
あやめさんは独身ですでに定年退職し、高齢のおかあさんと二人暮らしだ。
会社の勤続○周年のハワイ旅行で一緒になって、
不思議なキャラのあやめさんと親しくなったのだ。

聞くところによるとおうちも自宅だし・・・
ほかになんの用事もなかったが電話をしてみた。

「猫を見てほしいんだけど」と(猫連れで)おうちに遊びに行きたいことを話すと、
じゃあ今日にでもいらっしゃいと言ってくれて、
ついでにご飯も食べて行ったら、とお誘いいただいた。
内心(これは脈があるかも!)と浮かれて出かけた。


以前からなんとなくわかっていたけれど・・・あやめさんは実にアナログな人だ。

あやめさんのおうちは昔花屋をやっていたらしい。
そのなごりで玄関はひと部屋分土間になっていて、
その土間の次の部屋が92歳になるあやめさんのおかあさんの寝室兼居間、
その奥がダイニングキッチンと続いている。
あやめさんのおかあさんは要介護の人で、
2階もあるらしいけれど、あやめさんはおかあさんの介護をするために、
1階のおかあさんの寝室兼居間で寝起きしているという。
その部屋で私たち3人はご飯を食べた。

いっちゃんは初めての人には人見知りするため、
キャリーバッグから出すとすぐに土間の下にもぐりこんでしまった。
その土間はというと、隅に段ボールの空き箱が天井まで積み上がっているので、
いっちゃんを探すために段ボールをよけなければならなかった。
私がダンボールを持ち上げると、不思議なことにその段ボールはすべて空き箱だった。

0000 033


「(素朴な疑問)・・この段ボールってつぶさないの?」と私が聞くと、
意外な答えが返ってきた。

「それは皆親しい人からいただいたものの空き箱なの。
箱を見ると送ってくれた人といただいたものを思い出すものだから、
それを見ていつも励みにしているの、
あ~あの人がアレを送ってくれたなぁ~って。
だからそのまま置いてあるの」


・・・・・・(絶句)

そんなこと言ってたらこの家は段ボールに占領されて人が暮らせなくなります。


はたまたこんなことも。
92歳のおかあさんにはお医者様からの勧めもあり、毎日500ml×3本位のお茶を飲ませるようにしていると言う。
そのお茶の飲ませ方というのが、すべて湯呑みからカレースプーンで口に運んでいるのだ。
「だからすごく時間がかかるの」

イマドキの介護用コップみたいなものを使わないのか?


携帯電話も持っているけど、家にいる時は電源を切っているというし、
今日だっておうちに着く直前に携帯へ電話しても通じないからどうしたのかと思ったら、
途中まで迎えに来てくれていた。携帯持たずに・・・・

それだけじゃない、あげればキリがない、
不思議人間なんだあやめさんは。


さりげなく猫を飼わないかと切り出してみると、
「とんでもない、この人(おかあさん)の世話だけで大変なのに、
猫ちゃんの世話までできないわよ~」とあっさり断られた。
私が「猫を連れて行く」と言ったことにまったく何も感じていなかったらしい

介護についてもアナログにこなすあやめさんには、確かに毎日のおかあさんのお世話は大変なんだろう。
そんな人に介護を経験していない私は何も言えない立場なんだけど・・・

でも、だからこそ、猫を飼って欲しいんだな。
猫の世話などたいしたことはない。
ご飯と水とトイレの始末。
人間のお世話に比べたら無に等しい。
でもこのおうちの隅っこに温かい生き物がたたずんでいたら、
あやめさんは1日の終わりにほっとできると思う。
その温かいものが膝の上にいてそれをなでるだけで、
あやめさんの疲れが消えていくと思う。

でもおかあさんのことでいっぱいいっぱいなあやめさんには、
別のやすらぎを期待する余地さえない。

「時々この人を車椅子に乗せて出かける時があって、
 ワンちゃんに洋服着せて散歩させている人を見かけるんだけど、
 よくあんなマメなことができるなぁって思う。
 ワンちゃんにそこまで手をかけられるなら、人間のお世話を手伝って欲しいわーって思うのよね。」

その言葉はあやめさんの心の負担を物語っていた。



その日私はいっちゃんを連れて帰った。
いつかあやめさんがおかあさんから開放された時に、
もう一度猫をすすめてみてもいいかもしれない。
でも今日あやめさんと話しができてよかった。

また時々あやめさんを訪ねて来てみよう。
そしてあやめさんの話を聞いてあげよう。



(※文中の名前はすべて仮名です)







今日は今現在のお話し。

つい先日、また通りがかりの人から相談の電話。
野良ちゃんが産んで置いて行っちゃったという猫を保護して、「どうしたらいいか」というので、

保護して里親さんを探してあげて。
ポスター作れば貼ってあげるし、
作れなければ作ってあげる、
デジカメがなければ一度連れてきなさい。

と言ったら本当に連れて来てくれた。

0000 064

生後一ヶ月ほど。
ふわふわトラ模様の男の子
きゃ~~~~かわいすぎるぅ~~~~~~

大丈夫。
こんなに小さくてこんなにかわいいなら余裕で里親さん見つかります。


でも私にも経験あるけど、初めて子猫を拾ってしまった時の焦りとか、不安とか、
その命の大きさに「誰でもいいからもらって」状態になってしまう。
「一応作ってみました」と、その子が不器用ながらに作ったポスターを預かった。

しかし早々にわんちゃんがいる友人宅で話しがある、
見てみたいと言われてるのでお試しで預けようと思うと相談された。
ところが朝から夜6時くらいまでお留守番だけどいいでしょうか?と言うので、

お試しなら何もすぐに預けなくても、
まだミルクか離乳食なんだし、
これくらいの子は育ち盛りで、数時間おきにミルクをあげなければならないはず、
あと半月くらいは大事に育てて、それからお試しにしなさい、
とアドバイスしてあげた。




その夜、保護した女の子からメールが来た。

「例のわんちゃんのいる友人のうちで、家族でなんとか協力するから、
 とりあえず1~2週間様子を見させてくれというので、預けることにした」と。

わかりました。

でもそれが大事なんです。
私なんてひとりで乳飲み子を育てる場合もある。
家族がいて、皆で協力し合えば、ひとりよりもっとうまくやっていけるはず。
「留守番ありき」でなく、
子猫のためになんとかしよう、という気持ちを引き出すことが大切です。
その子はそこのお友達のおうちで決まることでしょう。

「ではポスターはがしておきますね^^


あと2週間もしたら、
「決まりました」というメールをもらうに違いない。

0000 063

まだ名前のない「ナナシ」ちゃん。


2010/5/15



いっちゃんがうちに来て2ヶ月が経とうとしていた。

新聞の「猫もらってください」に掲載もしたけど、なかなか里親さんは見つからなかった。
塾のご夫婦もあきらめムードで
「やはり無理ですかねぇ・・・」と私に確認してくるが、そのたびに、
「大丈夫です、この子は本当にいい子ですから、私が絶対里親さんを見つけます」と言い切っていた。

子猫の時の2ヶ月は大きい。
生後2ヶ月の子が4ヶ月になれば身体は倍違うし、かわいい盛りを過ぎてしまう。
いっちゃんはすでに5ヶ月から半年ほどの月例になっていた。
いつもなら私だってプレッシャーに押しつぶされて、あきらめの境地に立っていただろう。
でも今回、私には変な自信があった。
今までの経験と、いっちゃんに対する私の思い入れがよほど大きかったのだろう。


あやめさんばかりでなく、そこらじゅうの人にいっちゃんを薦めてみた。
偶然会った踊りの先生、昔仲の良かった今はリタイヤしている上司、出入りの保険屋さん、、、
でもなかなか里親さんは見つからなかった。


「大丈夫、いっちゃんはいい猫なんだから、きっと里親さんが見つかるから」

まるで自分に言い聞かせるように、
私はいっちゃんにそう話しかけていた。


1013 005


12月に入ったある日、私の猫友達の飼っていたソマリが亡くなった。
彼女は私より猫暦が長く、3匹のソマリを飼っていたのだが最後老猫1匹が残っていた。
その子が亡くなったのを聞いた時に、私の頭の中にすぐにいっちゃんのことが浮かんでしまった。

「もしやいっちゃんを飼ってくれないだろうか」

いっちゃんが今まで散々里親さんが見つからなかったのは、このためだろうか?
私の大親友に飼ってもらうため?
そんな運命めいたことまで考える始末で・・・いてもたってもいられなかった。
しかし愛猫を亡くしてすぐの親友に次の猫の話しをするのもどうかと思い、
私はもやもやとした気持ちでタイミングを量っていた。

するとそんな中、猫ボランティア仲間のあっこちゃんから思いがけなく里親さんの紹介の話しがあった。
年齢は70歳ほどだが、同じマンションの同じ階に娘さん夫婦が住んでいて、
先日19年生きた猫を亡くしたという奥さんだった。
早速連絡をとって猫の希望を聞いてみると、

「柄は問わない、どんな子でもいい、ただメス希望で長毛でなければいい」

と言うではないか。

この人にいっちゃんを見せよう、
最初隠れてしまうだろうけれど、
おとなしくて傍らにそっとたたずむいっちゃんなら、
年配のこの人にぴったりだろう、
きっと気に入ってくれる、、、、

ああ、いっちゃんの里親さんが見つかった!
やっと見つかった!



私はお電話した翌日にはいっちゃんを連れてそのお宅を訪問していた。

2009.12









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