その時Tさんは白血病のことをそれほど深刻に受け止めていないようだった。

現に動物病院の先生も、
「白血病のキャリアは持っているけどまだ発症していないし、何年しか生きられるないということは言えない」
と言っていたようだった。


だけど私達は知っている。
その先生が言うことはエイズの猫の場合で、、、
白血病はエイズと違ってほぼ長生きできない。






過去にも白血病でも里親さんを見つけてもらわれた子や、あとからわかった子などいたが、
どの子ももらわれてまもなく亡くなっていた。




私が苦労して里親さんを見つけたぴょん太だって・・・
里親さんのところに行って1年も経たずに死んでしまった。



お星さまになったぴょん太




それらの経験があっての結論だった、
動物病院の先生のようなあいまいなことは言えなかった。



Tさんも「譲渡会には出せないのだ」ということをなんとなく理解してくれたようだったが、その時はあまりはっきりと突き放すようなことは言えなくて、

それよりもかねてよりまれちゃんをシャンプーするお手伝いの約束をしてあったので、
その時にきちんとお話ししようと思っていた。



シャンプーの約束は抜歯手術のため延期になっていた。






それから更に1週間後、まれちゃんのシャンプーに行くと、Tさんは、

「もううちで飼うしかないかなって思ってます。母ともそう言ってます」

と言ってくれた。







そうか・・・

Tさん、、、、ありがとう、、、



まれちゃん、良かった!








白血病なんてまれちゃんにとってはなにも関係のないこと、
飢えることなく毎日ご飯があって快適に暮らせることが大事なこと、
まれちゃんはそういう暮らしを手に入れた、
それだけで嬉しいに違いないのだから。







「ソクラテスより猫」  近藤明理

からだを伸べて
空(くう)を見ている猫よ
そこにある風を見ているのか
時をみているのか

生まれたときに与えられた
からだの模様やしっぽの長さに
文句もいわず

餌があればそれなりに
餌がなければそれなりに
病も痛みも
毛に艶のなくなる いのちの折り返し地点も
静かに受け入れて

わずか十年ほどの命を
あらがうことなく
悔やむことなく
恐れることもなく
日々ついやしてゆく猫よ

猫は問わない
なぜなら
猫自身が答えであるから

ソクラテスの時代から
人間たちが考えつづけてきた
全ての問いの
答えそのものであるからだ









シャンプーしたまれちゃんはもうよたよたしていなかった。

逃げようとするにも力があって、身体もがっちりして、ひとまわり大きくなったように見えた。














まれちゃんはその日から今までいた保護部屋から出され、家中を自由に歩けるようになった。




「まれちゃんは母が外出する時以外ぴったりくっついてます。夜も母と一緒に寝ています」

(Tさん談)







お母さんもトラウマを払拭できたのかもしれない。

今頃お母さんと一緒にリビングでテレビでも見ているに違いない。

あ。それも100パーお膝の上で。








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