最後に残ったチョコ太郎は、いつの間にか「ちゃーちゃん」と呼ぶようになっていた。



実は驚くべきことに、ちゃーちゃんは後ろ右脚の先が欠けていた。

最初は切られた(虐待?)かとも思ったが、よく見ると明らかに短い脚先には肉球がついている。
たぶん先天的な奇形なのだろう。
奇形があったために捨てられたのか・・・
いや奇形がなくても捨てらていただろうな。



しかしそんな子の里親さんを探すのは更に難しい。

行きつけの獣医さんには「前脚が欠けているよりは、後ろ脚の方がダメージは少ないんですよ。」と言われ、
ややほっとするも、明らかに走る時は右後ろ脚をぶらぶらさせている。
あまり太らないように、ウェイトコントロールもした方がいいんだろうな・・・
などと色々なことを考える。
そんな余裕のあるおうちに果たしてもらわれるだろうか・・・・

いや贅沢は言ってられない。



そんなちゃーちゃんにも里親さんは現われた。
結婚したばかりの若いご夫婦だった。
奥さんは子供のころからずっと猫のいる家庭に育ったため、
結婚後も必ず猫と一緒に暮らしたくて、そのためにペット可住宅を探したという。

「この子、足に奇形があるんですけど」と説明すると、
そんなことはさほど気にしない、この子がかわいいからこの子でいいです、
と言ってくれたのだ。

このご夫婦にお願いしようと決めた。




ちゃーちゃんをお届けした日、
ご夫婦の部屋は本当に越して来たばかりのようで、
まだ荷解きしたあとのダンボールがあった。
そして居間には新しい猫用のゲージにトイレを用意してくれてあった。
ところがちゃーちゃんは、キャリーバッグから出されるやいなや、
怯えて部屋中を走り回り、お風呂に逃げ込んでしまった。
家ではあんなに懐いていた子なのに・・・どうしたんだろう?

私はちゃーちゃんを捕まえるとこう言って聞かせた。


ちゃーちゃん、

ここがお前のおうちなんだよ

この人が新しいお母さんになるんだよ

この家でいい子にしてかわいがってもらうんだよ!


この里親さんを逃したら、もうこの子をもらってくれる人は現れないかもしれない、
ちゃーちゃんをとりあえずゲージに入れ、奥さんにお願いして、
祈るような気持ちで帰ってきた。



その日の夕方、里親さんからメールが来た。

「ゴロゴロいってかなりかわいいです。今こたつの中で遊んでいます」

えっ?・・・・あああっ、そう。
なんだか肩透かしだが、ま、それならいいや。
猫というのはようわからん。



その後保護したやなぎさんが里親さんとちゃーちゃんに会いたいというので、
しばらくしてまた訪ねてみると、
今度はちゃーちゃんは私達から逃げ回り、抱っこも不可能。
「おおお、おばちゃんのこと、わすれちゃったの~?」

猫とはそういうものか。
名前は虎太郎(こたろう)という、勇ましい名前になっていたというのに。





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