前回と前々回、譲渡会に参加した「やまとくん」と「こむぎちゃん」のトライアルが決まった。

2匹の保護主のNさんはお住まいのアパート界隈の外猫のお世話をしていて、自らも家で5匹の猫を飼っている。



Nさんは車の運転ができない。
そこで仕方なく私が譲渡会の猫のお迎えに行くなどして何かと世話をやいていたのだが、
1匹里親さんが決まるとまた新しい猫を保護したりするものだから、
Nさんとはなんとなく付き合いが続いていた。


それにあとで分かったことが、Nさん、私の妹と同じ職場の人だった・・・




さてやまとくんとこむぎちゃんに申し込みがあったのは、M市のひとり暮らしの女の子だった。


ネットの里親募集サイトから申し込んできたのだが、
その書き出しがこうだった。

「私は静岡県M市のペット可アパートでひとり暮らしをしていて、猫を譲っていただける方を探しているのですがM市ですと遠方でしょうか・・・(後略)」



ははぁ、多分この人他でも申し込みをしたけど断られているんだろう。

断られている理由はなんだろう・・・



メールをもらった翌々日、ちょうどたまたま会社の泊まりの研修に行かなくてはならなくて、
その行き先というのがM市の方向だった。
そこですぐに連絡をとって、研修に行く途中M市のその人の家へ立ち寄ることにした。


里親希望者~ミサトさんとしよう~と住所や時間の確認をやりとりしていると、
その人となりがある程度わかる―――
ミサトさんはとてもしっかりした女の子のようだった。



131110-14.jpg
やまとくんとこむぎちゃん(譲渡会で)



ミサトさんのアパートはほぼワンルームで、
キッチンと水回りの間に扉が1枚あるだけ、
猫を飼うにはちょっと狭すぎるかな、というのが印象だった。


しかし現在大学4年生のミサトさんは来春から隣りのN市の会社に勤務のため、
年が明けたらN市に引っ越し、その際にはもっと広い部屋に引っ越すという。

(それならよかった、広い部屋に引っ越してくれるのならなんとかなるかな)



私は肝心な質問をしてみた。




「もしかしたら今までもどこかに猫の里親の申し込みをされたことあるの?」


「・・・はい!そうです。」


「それなのにどうして譲ってもらえなかったの?」


「ひとり暮らしはダメ、学生はダメ、アルバイトはダメ、と色々条件がきつかったので・・・」






なるほど。




よそのボランティアさんではそれくらい厳しく里親さんを選んでいるというのは知っている。


ひとり暮らしの男性はダメ

70歳以上のお年寄りはダメ

アルバイトはダメ

固定電話がないおうちはダメなど



ミサトさんは今でこそ学生でアルバイトだけど、春からはちゃんと一人前の社会人になる。


ひとり暮らしはダメだなんて言ったら、私だってひとり暮らしだし。



「卒業は大丈夫?」


「はい、それはもう!」




じかに会ってお話しすると、電話のやりとりよりも更にしっかりしたお嬢さんだということがわかる。

そして猫に対する愛情も充分ある人だと。

条件に多少難があっても、会って話してみて、人間を見てみるのがいちばんだ。



私は保護主のNさんに了解を取る前に、その場でミサトさんに向かって、

「猫の飼い主として問題ないと判断します」などと言ってしまった。






しかしそのあともうひとつ疑問がわいた。

「これから引っ越しならせめて引っ越しが終わってから猫を探そうと思わなかったの?」


ミサトさんの返事はこうだった。
ミサトさんは今のアパートにもう4年住んでいる、
猫はもうずいぶん前から探していたがなかなか譲ってもらえる先がなかった、
実は今年父親が急逝して、それで余計猫を飼いたいという気持ちが強くなった、
里親募集のサイトでやまとくんを見て是非里親になりたいと思ったが、こむぎちゃんと離れ離れにさせるのがかわいそうに思えて、それで一緒に飼いたいと申し出た、と。



兄弟でもらっていただけるのは、猫達にとっても保護主さんにとってもとてもありがたいことだった。



私が里親を断る条件はひとり暮らしでも年寄りでもない、「嘘をつく人」だ。

猫を譲ってもらうために少しでも自らの条件をよくしようと嘘をつく人。

ミサトさんは少なくとも嘘はついていないと思った。



「父親が亡くなったことを言うと不利になるかと思いましたが正直にお話しします」と言っていた。
そんなことは関係ないことだった。





保護主のNさんは私の情報だけでOKを出してくれて、子猫達を譲ってもらえることになったミサトさんはそれはもう大喜びしてくれた。
日を改めて再びNさんと一緒に子猫のお届けにM市へ向かったのだった。


yamato.jpg

komugi.jpg
ミサトさんの家でのやまとくんとこむぎちゃん





帰り際、ミサトさんのおうちでトイレを借りると、トイレの壁にアメリカの都市の名前の絵葉書がたくさん貼ってあった。


「アメリカが好きなの?」


「はい、留学していましたから」


「え?それじゃあもしかして英語はペラペラ?」


「はい」




ミサトさんの春からのお勤め先を聞いてみたらかの有名な旅行会社「エイチ○○エス」だった・・・





今、ミサトさんは狭いながらも猫達と楽しく猫ライフを送っているようだ。
「あのあとコタツを出したら昼間はコタツで寝ているみたいで、夜は連日運動会してます」と。


名前は黒猫のやまとくんが「ナイト」、こむぎちゃんは「ルナ」というとっても素敵な名前を付けてもらった。

夜と月、または騎士と女神、という意味になるのかな?


お届けから1週間、
あの狭い部屋で毎晩運動会されてはSさんが寝不足にならないかと心配になるけれど、彼女の猫に対する愛情に心配はいらなそうだ。




2013/11/26
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コメント

  1. 学生・一人暮らし

    ケムさん、ご無沙汰~
    やまとくんとこむぎちゃん、よかったね♫
    2ニャンの幸せ 祈ってま~す☆彡

    いつも思うのですが、ケムさんの
    行動力はすごい❣
    少しでも見習わなくてはと(*^‐^*)
    寒くなってきましたが、身体に気を付けて
    がんばってくださいね~

    ( 10:04 )

  2. けむ | -

    Re: myままさん

    あ~こちらこそご無沙汰してます!
    私、9月に名古屋転勤の話があったのですが、転勤したら真っ先にご連絡しようと思ってました。(笑)
    幸い転勤はなくて引っ越しを免れました~

    myままさんこそ、家族のお世話と猫達のお世話、更に保護猫さん、パワフルですね!負けてられませーん(笑)
    ところでブログの里親詐欺の話、ひどいですね。
    そういうやからがこの世に存在しているかと思うと恐ろしいです。
    メール拡散させていただきますね!

    ( 12:33 )

  3. さとみ | G0gcgdPw

    はじめまして

    初コメです、前々からいろいろと参考にさせていただいてました。
    個人で保護活動のようなものをしてます。

    うちに生後6か月の保護猫がいて
    先日一人暮らしの女子大生からオファーがありました。

    電話でお話ししたんですけど、
    とっても頼りなくて、他もすべて断られたと聞いて
    わたしもお断りしました。

    でも6カ月過ぎてくるとどんどん大きくなるし
    焦ってしまいますが
    この子のことを考えてぐっとこらえて
    素晴らしいご縁を探したいと思います。

    最後になりましたが、いつもなるほどというお話が多くて
    とくに「なんとかする」ということは
    深くうなずいてしまいました。

    長くなりましたが、これからもよろしくお願いします。

    ( 20:37 [Edit] )

  4. ふぶき | -

    条件

    そうか〜私もひとりですが猫と暮らしてます。
    るすにする時は隣の奥さんにエサやりをお願いしてます。
    うちの猫はたまにしか会わないのに隣の奥さんをご飯のヒトとして覚えてますよ(笑)
    今は色んな方法があるし、愛情と工夫でなんとかなります♪
    でも留守番は二匹の方がいいみたいです。
    二匹でずっと一緒にいられてよかったね。

    ( 20:56 )

  5. No title

    持家で家族と暮らしているからと言って
    猫と暮らしていける人とは限らないんですけど…
    一人暮らしでも実家ではずっと猫を飼っていたりして
    ちゃんと猫と暮らせる人もいるのに
    「一人暮らし」だからというだけで門前払いにするのは
    せっかくの縁をつぶしちゃいそうでなんだかな…と思いますね
    里親詐欺とかのいやな話を聞くと絶対に無条件で猫を渡すわけにはいかないとは思うけれど
    せめて会ったり電話で話してからお断りするなりできないのかなって考えちゃいます
    そういうワタシもけむさんたちが
    「自宅に届けられないほど遠い」からと言って
    ワタシの申し込みを一蹴しないでくれたからこそ今があるので
    本当にありがたく思っています
    ミサトさんのような飼いたいのに飼えずにいる人に1匹でも保護猫さんと縁がつながりますように。

    ( 23:54 )

  6. けむ | -

    Re: さとみさん

    はじめまして。
    読んでいただいてて嬉しいです。
    さとみさんのような方にも読んでほしくて、このブログを書いています。
    猫の里親探しはいつも初めてのことだらけですからね。
    大きくなってくる子猫に焦る気持ちがよくわかります、でもぐっとこらえて正解だと思います。
    きっとよいご縁が待っていますよ!
    お互いにがんばりましょうね!

    ( 12:21 )

  7. けむ | -

    Re: ふぶきさん

    ふぶきさん、お隣りさんといい関係が出来てていいですね~
    私ももうずいぶん長いことひとり暮らしです。
    今回は2匹一緒というのもOKを出す要素になりました。
    お留守番が長くても、2匹一緒なら淋しくないですもんね。
    でも世の中にはへんなやからもいますから、慎重にするには越したことないですね。
    人を見る目ははっきり言って難しいです^^;

    ( 12:25 )

  8. けむ | -

    Re: ルウさん

    ルウさん、そうでした!
    ルウさんにはお届けしてなかったし、その後の家庭訪問もまだでした(笑)
    でもルウさんの猫達への愛情たっぷりなブログを読ませていただいてて、何よりも安心しています。
    遠くからあの子達を求めてくださり改めて感謝申し上げます。
    持家とか、家族がいるからとかよりも、その人の猫への愛情を信じられるか、ですね。
    ルウさんにもらっていただき本当に良かった、、こちらこそありがとうございます。^^

    ( 12:32 )

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