ある日ネットの里親募集サイトから「テイちゃん」へとオファーがあった。



大人猫のテイちゃんは里親さんも決まってすっかり落ちついて暮らしている。
掲載終了させるのを忘れてた。






テイちゃんは一匹だけで大事にされてストレスなく幸せそう(里親さんから送ってもらった写真より)




申込みは東京都の人からだった。


遠方の人との交渉は苦手だ・・というかはっきり言って面倒くさい
でもその時は保護猫溢れていたからそうも言ってられなかった(アラレさんにもそう言って叱られたし)、もしかしたらテイちゃんに代わる他の猫をすすめられるかもしれない、、そう思ってお話しを聞くことにした。




申込みしてきたのは30代の男性で、奥さんの実家のご両親が猫を飼いたいということだった。
ご両親はともに67歳、徒歩圏内に自分達の家もあり、万が一の時には自分たちが引き取る約束をする、自分達家族に猫アレルギーもいない、ということだった。

67歳でもバックヤードがここまでしっかりしているのなら問題はなさそうだ。
ただしそういった場合はあまり人見知りをする猫を紹介すると、将来飼い主や環境が変わった時に逆に心配。
人懐こい猫を紹介するのがいいだろう、、、


そこで私は人が好きで性格抜群の「アオちゃん」を代わりの候補に挙げてみた。
先方が今まで飼っていて亡くなった猫ちゃんがキジトラで、キジトラ希望だったのだ。(それでテイちゃんに希望してきた)



アオちゃん



東京都のボランティア団体は譲渡条件がとても厳しいらしい。
67歳でもうアウト?別居ではあるが家族がいてその後の約束をしてくれてもダメなのだろうか?(どうやらダメらしい)

先方は「是非その猫ちゃんを検討させてください」とアオちゃんに乗り気だった。









ちょうど同じ日に時間差でタカラさんから連絡があった。

「ポスター見て連絡くれた方がアオちゃんを希望している」ということだった。



あらら。
アオちゃんは今東京の人に紹介したばかりだ。

でもどんな人か聞いてみると・・・・



市内の方だったが、ご主人奥様ともに74歳。


えっ!ななじゅーよん!???




な、74歳じゃあちょっと~~


アオちゃんが20年生きたとすると94歳やんけ。



でもタカラさんはこう続けた。
隣りのF市に娘さんがいて何かあった時は娘家族が引き取る、奥さんは美容室を経営していて今も現役で働いている、そして何よりとてもいい人達だから、と言った。


アオちゃんはタカラさんに預かってもらっている。
それで74歳のそのご夫婦はすでにタカラさんの家でアオちゃんとお見合いをしたのだ。
アオちゃんはそのご夫婦を歓迎してすり寄っていったものだから、ものすごくアオちゃんを気に入って帰ったという。


「でもアオちゃんはけむさんの猫ですからけむさんからお返事がいきますと言ってあります」と。






東京の人と条件はほぼ同じで67歳と74歳・・・そうなるとどう考えても67歳の方が(まだマシ?)だろう・・・


・・・・


申し訳ないが74歳のご夫婦にはお断りしよう。
てもお話ししてみてもしも里親さんとしてふさわしい人達だったら、代わりに年寄りの猫とか、行き場のない子とか、そういう猫さんを紹介してもいい。
でもなぁ、一度アオちゃんを見て気に入っているしなぁ、ぐずぐず言われるかなぁ~と心配になる。






74歳の奥様はかつよさんといった。

失礼ながら私が知っている74歳といえば猫のことでぐずぐずいう頭の固いばあさん・・・というトラウマがあった・・・・




お電話で「アオちゃんはちょうど他のご家族とお話しをすすめていた最中で・・・」とお話しすると・・・
意外にもかつよさんは、
「あ~そうですか、それは良かったです、それなら結構です」とあっさりと辞退を口にした。

お話ししてみるとタカラさんの言うようにとても感じのいい方だった。
話しの成り行きから「実は先日タカラさんの家から帰る時に猫ちゃんの道具を一式揃えちゃったんですよ~気が早かったですね~」と聞かされた。


私は段々この人ならどんな猫でもいいからお世話してあげたいなぁと思えてきて・・・


最後にかつよさんにこう約束をしてしまった。





「猫グッズ一式、私が無駄にならないようにしますから」
と。








2016/12/4

かつよさんと電話でお話しはしたものの、
面識がなかった私はタカラさんに「娘さんへの万が一の確認作業をして欲しい」とお願いした。


娘さんの住んでいる戸建ての家も確認した。(ストリートビューで確認)
立派な一軒家、家の前にはカーポートがあり、そしてその門構えの表札にタカラさんから聞いた娘さんの姓がはっきり見て取れた時―――ぼんやりしていたものが急に鮮明になってきた。


そして娘さんからも「引き取る約束をする、だからどうか母に猫を世話してやってくれ」とお返事をもらった―――






東京の方とも電話でも話をしたし、メールのやりとりもしていた。
東京の方もきちんとした人だというのはわかったが、まだ住所番地の連絡をもらえてなかった。




私は次第にこう思えてきた。


遠くの67歳より近くの74歳




高齢者でも猫を譲渡するボランティア団体があるらしい。

その場合、家の中のよく見える場所に、
「飼い主に何かあったらここへ連絡してください」と張り紙をしておき、身寄りのない人でも万が一の時は猫が路頭に迷わないようフォローする体制を作ってあるのだそうだ。

私は個人でやっているし組織もないし、年間何匹も猫を譲渡していながら自分の将来に確実なものはない、すべての猫にそこまで責任は持てない、、、
でもアオちゃん一匹くらいなら、、アオちゃん一匹なら万が一の時私が責任を取ることはできる、それには市内の方の方がいい、人間いつ死ぬかもわからない、70代で亡くなる人もいれば90代でぴんぴんしてる人もいる、かつよさんは今でも現役でお仕事されている、案外ずっとお元気なんじゃないか・・・・



ええ~~~~い!
アオちゃんをあげるのはかつよさんにしよう!!!




タカラさんにそのことを話すとタカラさんも賛成してくれた。
実はタカラさんはアオちゃんを東京に連れて行くことに反対していたのだ。
「自分がその家を下見に行ってくる」と言ってムキになるほど。
・・・タカラさんはタカラさんで、遠方の人にトラウマがあったのだ、、、




東京の方には丁寧にお断りして・・・その上でもう一度よーく考えてみた。

もともと私はかつよさんには「違う猫さんを紹介します」と言ってあった。
かつよさんは「猫は飼いたいが買ってまで飼うつもりはない、お世話していただけるのであればどんな年寄りの猫でもどんな子でもいい」と言っていた。

そんな風に言ってくれる人は貴重だ、アオちゃんでなくても他にちょうどいい子がいないだろうか、
例えば行き遅れてしまったある程度の年の成猫さん、、でも人懐こくて将来環境が変わっても対応できそうな子・・・・



もしかしたらそんな猫さんも仲間内にはいたかもしれなかった、でも74歳の人を他の人に紹介する事もはばかれた、紹介された方はなんと思うだろう・・・やはり自分の責任で自分の保護猫から選んだ方がいい・・・



結局タカラさんがフライングしてかつよさんにアオちゃんを連れて行くと話してしまったが、それでも私はこの後に及んでギリギリまで悩んでいた。


私にはまだ変更の余地があると思っていた。
なぜなら最初のお電話以降、かつよさんとのやりとりはすべてタカラさんにやってもらって、私としてのお返事はしていなかったから。



でもタカラさんが「けむさんがアオちゃんを連れて行くと言ってました」と伝えると、かつよさんは電話口でそれは大喜びだったという。





しかし往生際が悪いとはこのことで

お届けの当日すら、車の中でのタカラさんとこんな会話をしていたのだった。




け「本当にアオちゃんでいいかな?」


タ「今更他の猫ってわけにいかなくないですか?」


け「それはタカラさんがそう言っちゃうから


タ「娘さんに確認を取る流れでそう言わざるを得なかったんです;;」


け「・・・・他にいないですもんね~」




・・・・・






fc2blog_20160924134654fc1.jpg
アオちゃん







2016/12/11

かつよさんの家は、市内の大きな河川沿いに山の方へ向かっていったところだった。


その日かつよさんと初めてお会いしたのだが、現役で美容師さんというだけあって見た目とてもお若い!
74歳というお歳には見えなかった。


「お若く見えますね~」というと「若づくりです」と笑っておっしゃった。
そして
「狭い家ですがどこでもそこらじゅう見てください」と家の中に招き入れてくれた。


コタツのある居間と、その奥のいちばん日当たりのいいサンルームのような場所が、あたかも「猫部屋」のように改装?されていて、
ケージ(必要ないって言ったのに)や、爪とぎ、猫ベッドが置いてあり、天井からは猫のおもちゃがぶらさがっていた。(笑)







障子の一マスが猫用出入り口に(笑)




アオちゃんはニャーニャー鳴きながらそこいらじゅうを探検。

かつよさんは終始笑顔で本当にとても感じのいい方だった。










猫を届けた日にまずは「譲渡契約書」にサインをいただくのだが、かつよさんの場合、サインは娘さんにお願いすることにした。
娘さんはお正月に来るからと言って、お正月過ぎたらまた譲渡契約書を取りに来る約束にした。

12月の避妊去勢ツアーでアオちゃんは手術をしたばかりだったので、かつよさんには譲渡の際「手術代だけ少し負担して下さい」と金額を伝えてあった。
かつよさんは封筒を差し出し「手術代に少し足してありますので猫ちゃんのために使ってください」と言ってくれた。
封筒はありがたく受け取ることにした。
すると更に・・・


「今日は猫が来るよろこばしい日なのでお赤飯を炊きました。どうか持っていってください」と。




え~~~お赤飯



―――猫を届けてお赤飯をもらうのは初めてだ

なんだかじーーーーんと来てしまう・・・







更に更に、

「これはちょっとしたお土産です」と小さなダンボール箱を、タカラさんと私にひとつずつ渡してくれた。





なにやらたくさんお土産をいただき恐縮しながらタカラさんとかつよさん宅をあとにした。




散々悩んだけど、家の中も問題ないし、お赤飯まで炊いて喜んでくれて、
良かったんじゃないか、良かったよね、と、
帰りの車の中でタカラさんとそうと確認しながら帰ったのだった。





家に帰って




手渡された小さなダンボール箱を開いてびっくり。







梅干しやららっきょうやら鮑の煮貝まで・・・そしてお礼の言葉が添えてあり・・・







泣きそうになった。



私はかつよさんに申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

かつよさんはアオちゃんが来るのをこんなに楽しみにしていた、おみやげの品物を集め、お赤飯を炊いて、わくわくしながら待っていたというのに、

私ったら、まだ変更の余地はあるだなんて、ギリギリまでアオちゃんを渡すことを悩んで・・・

なんて上から目線だったことか。
。・°°・(>_<)・°°・。



タカラさんも同様に箱を開けて「胸が詰まった」と言っていた。





そして「少し足してありますが」と言われて受け取った封筒の中には・・・想像を超えた大金が入っていた。






かつよさんは知り合いから猫を預かって10ヶ月だけ猫と暮らした。
それが猫を知ったきっかけで、その猫を返してからはもう一度猫と暮らしたくて、
それでポスターを見て申し込みしてきたのだそうだ。






アオちゃんは先住猫さんと相性が合わずに出戻った猫だった。


なんとかなる③~アオちゃん

トライアルシャッフル



タカラさんが「あの子が帰ってくるなんて信じられない」と言うほど、アオちゃんはものすごく性格のいい猫で自信を持ってどこにでも紹介できる子だった。
人が好きな子だから、、一日中家に誰かがいるお家にアオちゃんは合っている、
かつよさん家族にアオちゃんはピッタリだと思う、
これで良かったんだ―――



かつよさんはきっと「徳のある人」なんだろう。
だから年をとっても猫を譲ってもらえたんだ。
私もそういう年寄りになるよう人生を積み重ねていきたい。








その後タカラさんが電話で様子を確認すると、

アオちゃんはかつよさんのあとをストーカーのように着いてまわり、かつよさんがお仕事中の時はせっかく作った猫部屋には行かずに「じいじと一緒にコタツの中ばかりにいるんです」と嬉しそうに話していたという。




お届けの日の帰り際、かつよさんは「いつでも会いにきてください」と言ってくれた。

かつよさんは携帯など持っていないし、メールのやりとりもできない、アオちゃんのに様子を度々電話で聞くのもはばかれる、そうだお正月過ぎたら譲渡契約書も取りに行くんだった、、、


かつよさんの家の方は梅がきれいに咲く場所があるという、



「梅を見ながらまた一緒にアオちゃんに会いに行きましょうか」


タカラさんがそう言ってくれた。










2016/12/11 アオちゃんお届け アオちゃんはレオくんに



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