例によって猫おばさんMさんの保護した猫。
情報誌に載せて、兄弟のうちいちばん小さい子はF市にもらわれていった。
連絡があったのはその1件のみ。
あと2匹・・・初めてだったけど、インターネットで募集もしてみた。
すると「2匹一緒に欲しい」という女性からメールが入る。

喜び勇んで、遠くの街だったけどお届けをした。
新幹線で2駅、さらに在来線に乗り継いで。
住まいはアパート2戸をぶち抜いたおうちに、お母さんと旦那様と3人暮らしだという。
あらわれた女の子は「かわいい、かわいい」を連発した。
家まで一緒に行くという私を「ここからは距離もあって大変だから」としきりに拒み・・・結局駅で別れた。

当時私は猫の里親募集はまだまだ初心者だった。
今では住居を確認せずに引き渡すなど、考えられないことだ。



その後写メなどもらい安心していると、3日後、里親さんと突然連絡が取れなくなった。
やっと連絡が取れた時は、その携帯の持ち主は変わっていた???見知らぬ男性の声。
そして衝撃の一言を聞く。

「この携帯はしばらく紛失していたけど今日手元に戻ったんです」

全身の血の気がひいて・・・生きた心地がしなかった。
住所をもう一度徹底的に調べ上げると・・・・・そのアパートは「レオパレス」だった。
念の為そこのレオパレスにも聞いてみた。
「ペットは飼っていいですか?」・・・ダメに決まっていた。
あの里親希望の女の子が言うことはすべて嘘だったのだ。



その日、会社が終わるまでがなんと長かったことか。
私は仕事が終わるや否や車を飛ばして問題のレオパレスへ向かった。
すべて嘘だったけど、住所だけは本当だったのだ。
しかし突然訪ねて行けば、当然居留守を使われるだろう。
もしくは出て来てくれない。
考えた挙句、まず近所の交番に駆け込んで、お巡りさんに事情を話し、
一緒に部屋まで来てもらうことにした。

とにかく部屋のドアを開けてもらうことが重要だった。
若いお巡りさんは私の無理矢理な説得になんとか同行してくれた。
時間は夜8時を回っていただろうか、しかし・・・・・その部屋は留守だった。
どうしよう・・・・猫達をどうやって連れ戻そう・・・・途方に暮れて部屋の前に立ちすくんでいたその時、

なんと足元に2匹の子猫が現れる。

そう、その女の子は、猫を部屋の外で放し飼いしていたのだ。
そして家主が帰ってきたと思って子猫達も部屋に帰ってきたのだ・・・なんということ・・・!

「この子達です!!!」

あわてて2匹を抱きかかえる。

お巡りさん、ありがとう!
私は2匹を取り戻したのだ!
死んでいるかもしれないと思ったけれど、よかった生きていた!!!

その子は猫の飼えない環境で、嘘をついてまで手に入れたかっただけなのかもしれない。
でも放し飼いで飼うなんて、とんでもない。
避妊手術など到底してくれなかったかもしれない。

2匹を連れて車で帰った道のりは、行きとはまったく違った安堵の帰り道だった。

よかった、私は子猫を連れ戻すことが出来たのだ。








それからポスターを貼ろうが、何しようが、あらゆることをしたけど飼い主さんは見つからない。
子猫は日に日に大きくなる。
毎日家に帰ると、一回りずつ大きくなる子猫にぞっとすることを覚えたのがこの時だった。

このままうちの猫にしようか・・・そう思い始めて2匹に名前をつけたのが「ふく」と「はぴ」。
「ふく」はお世話になったお巡りさんが「ふくしまさん」だったので、その名前をもらった。

幸せになるようにと祈りを込めて―――




ちょうどその頃、あるスーパーで猫を店頭に飾って譲渡のお手伝いをしてくれるところがあると情報を得た。
最後の手段と思い、そこへ猫達を飾らせてもらうことにした。

夏の暑い時だった。
たとえゲージを日陰に置いても1日外に置くのは子猫にとっても負担が大きい・・・
そんな心配さえも推し切って、祈るような気持ちで子猫達を展示させてもらった。

長い1日が終わり、スーパーに戻ると、
キジ白のオス(ふくちゃん)だけ欲しい人がいたと言う。
通常はその場で手渡して終わり、というシステムだったが、
あえてあとで届けに行くからと、住所を控えておいてもらった。

そのおうちにお届けに行くと・・・私は思い切った行動に出た。

「どうかこっちのメスも一緒に飼ってもらえませんか?お願いします!!!」

60代のご夫婦だった。
必死の想いが伝わったのか、しぶる奥さんをなだめて、ご主人が承諾してくれた。

やった、やった、やった!!!
ついにこの子達の飼い主さんを見つけたのだ!



現在の名前は「だいちゃん」「ふくちゃん」。
なんとそのお宅の先住猫の名前が「ハッピー」だったのだ。

2006/7/24


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