やなぎさんの餌やり現場に突如現れた4兄弟。
完璧捨てられたようです。
生後3ヶ月はゆうに回っていただろう、身体もやや大きめ。
4匹とも慣れ慣れのグルグルで、初対面の人間に抱きあげられても体重のすべてを預けてくる。
こんなに慣れるまで手元に置いて、捨ててしまうってどういう了見の人だろう。
理解に苦しむ。

兄弟はすべてオス。シャム系白。


普通のトラ。


長毛のクロ。


長毛のトラ。



うちの隣りの美容院は、私が中途半端に置き餌をして居坐るようになった野良ちゃんを、
なんと家猫にしてくれたお宅だった。
その子(=ミーちゃん)をこの春亡くしたばかりで、心やさしい奥さんはひどく落ち込んでいた。
それから約2ヶ月、あまりにかわいい4兄弟を見て、真っ先に
「ミーちゃんの代わりに1匹いただきたい」と言って来てくれて、
シャム系の白い子を選んでいった。
名前は「ピースちゃん」

同じく近所のマンションの大家をしているおばあさん、
去年の冬は「黒猫がいたら紹介してね」と言っていたのに、
いざ紹介したら「今体調が悪いから」とお断りされてしまった。

そんなことがあったため今回は黙っていたのに、
いつの間にかピースちゃんをもらった美容院の奥さんがすすめてくれて、
私の知らないうちに毛長の黒が決定になっていた。(笑)
名前は「クロちゃん」←そのまんまです。


毛長のトラは単身赴任のお父さんが、実家の家族に連れ帰ってくれた。

そして最後に残ったトラは、私が後輩のHちゃんに強引に押し付けて決定


・・・その後輩の家ではつい最近外猫だった子猫を慣らして家猫にしたのだが、
病気で死んでしまったばかりで悲しみが癒えていなかった。
やっと慣れた時に捕まえては病院に連れて行く・・を繰り返したため、
最後はおびえてしまったらしい。
まだ1歳に満たなかった。
子猫のためにしたことなのに、逆にストレスを与えてしまったようで、
家族は複雑な思いをかかえ、猫を飼うにはまだ少し時間を置きたいと言っていた。
ま、そこを半ば強引にお見合いさせてしまったのだが、
(見せればこっちのもの)
結局はもらってもらうことになった。

猫に対する治療のかけ方は考え方も色々で、「こうするのがいちばんいい」と言い切れない。
もともと外猫だった子であれば、あたたかな寝床とご飯があるだけで充分幸せだったはずだ。
たとえ治療をしなくとも、その結果早くに亡くなってしまっても、
「寿命だった」という考え方は必要なのだ。

あくまでも野良をうちの子にした場合の、私の考え方ではあるけれど。


Hちゃんにもらわれたトラの名前は「あずきちゃん」
なんてかわいい名前!!


4兄弟ともみな穏やかで性格は抜群だった。
うちの子達も無邪気な子猫に攻撃することは一切なく、
おかげで夜はゲージから出してベッドで一緒に寝ることができた。
眠りにつく頃聞こえる猫達の運動会の音・・・・



猫はおどるおどる

ベッドの上廊下階段

猫はうたううたう

喉を鳴らして歓喜のうたを

夜は長く人生は短い

夜通し遊べど惜しくない

明日はどこへ旅に出るやら

ここのおうちも今日でお別れ

おにいやんとも今日でお別れ



 
朝起きて触る子猫の柔らかい毛、
里親さんが決まった子達と、なんの憂いもなく一緒にいられる時間は至福だった。

よかったね、皆幸せになれるね。
2008/6/3

またしてもやなぎさんの餌やり現場に捨てられていた兄弟。

生後3ヶ月は回っていた。



捨てられた子というのは取りあえず「人慣れしている」ことがありがたい。
捨てられること自体は全然ありがたくないので、それも微妙なんだけど・・・

たまたますぐにボランティア仲間の紹介を受けて、
3匹の中でもいちばん人懐っこかった男の子がもらわれた。



名前を「みーくん」とつけてもらった。

里親さんのお宅は広い一軒家で、私と同い年くらいの男性とそのご両親の3人家族。
今までの猫は外を自由に行き来させていたようだったが、
「お家の中で飼って下さい」とお願いすると、なんとか聞いてもらえた。
その代わり、最初はキッチンに1匹で閉じ込められたらしい。
家のあちこちに脱出可能な窓があったからだった。

この子は私が寝る時にベッドに入って来てグルグルと甘えた子だったから、
新しいお家でも一緒に寝させてもらえるだろうか、
1匹で寝たら寂しくないだろうかと心配していたが、
里親さんからの近況メールを読んで安心した。

しばらくしてもらったメールには、
足の悪いお父さんのお布団で一緒に寝ていると書いてあったのだ。
家族で「いい子をもらったね」と話していると。


最後にもらった写真には、去勢手術をしてエリザベスカラーをつけたみーくんが写っていた。
子供らしい丸顔のみーくんの面影は消え、精悍で大人びた雄猫の顔が写っていた。
2009/1/22






みーくんがもらわれ、残り2匹はそっくりな柄の色違い。
手前の黒っぽい方が男の子、後ろの麦わら色が女の子。
チョコレート色とキャラメル色、「チョコ太郎」「キャラメルちゃん」と取りあえず呼んでいた。

みーくんに比べ、おどおどしていた2匹だったが、
うちへ連れてくるとほどなく自由に飛び跳ね、私にも甘えるようになる。



その女の子の方を、今回もやはりボランティア仲間から知り合いを紹介してもらう。
猫を飼うのは初めてだという、商店街で家具や雑貨のお店をやっている奥さんだった。
最初は人見知りをするキャラメルちゃん、心配だったが、案の定、
連れて行くとまず部屋の隅に隠れてしまった。
のちのち話を聞くと、その後部屋中どこを探しても見つからなくなり、
家族を青くさせたという。(神棚の後ろにいたらしい)

キャラメルちゃんは名前を「しまちゃん」とつけてもらい、
その後は商店街の猫らしく、いろんな人が出入りしても人見知りしない猫に成長した。

私はそんなしまちゃんの成長を、そこの奥さんがやっているブログで確認することができた
そう、その奥さんはブログをやっていたのだ。
ブログにはしまちゃんが度々登場し、いつしかそれをこっそり見るのが私の楽しみになった。
私はけしてコメントを残さず・・・柱の影からこっそりと・・・しまちゃん見たさに・・・
まるで猫ストーカー。

里子に出した猫を、ブログで確認できるなんて・・・
そんなありがたい・・・なんてありがたい・・・

すべての里親さんにブログをやってもらいたいと思っているほどだ。



最後に残ったチョコ太郎は、いつの間にか「ちゃーちゃん」と呼ぶようになっていた。



実は驚くべきことに、ちゃーちゃんは後ろ右脚の先が欠けていた。

最初は切られた(虐待?)かとも思ったが、よく見ると明らかに短い脚先には肉球がついている。
たぶん先天的な奇形なのだろう。
奇形があったために捨てられたのか・・・
いや奇形がなくても捨てらていただろうな。



しかしそんな子の里親さんを探すのは更に難しい。

行きつけの獣医さんには「前脚が欠けているよりは、後ろ脚の方がダメージは少ないんですよ。」と言われ、
ややほっとするも、明らかに走る時は右後ろ脚をぶらぶらさせている。
あまり太らないように、ウェイトコントロールもした方がいいんだろうな・・・
などと色々なことを考える。
そんな余裕のあるおうちに果たしてもらわれるだろうか・・・・

いや贅沢は言ってられない。



そんなちゃーちゃんにも里親さんは現われた。
結婚したばかりの若いご夫婦だった。
奥さんは子供のころからずっと猫のいる家庭に育ったため、
結婚後も必ず猫と一緒に暮らしたくて、そのためにペット可住宅を探したという。

「この子、足に奇形があるんですけど」と説明すると、
そんなことはさほど気にしない、この子がかわいいからこの子でいいです、
と言ってくれたのだ。

このご夫婦にお願いしようと決めた。




ちゃーちゃんをお届けした日、
ご夫婦の部屋は本当に越して来たばかりのようで、
まだ荷解きしたあとのダンボールがあった。
そして居間には新しい猫用のゲージにトイレを用意してくれてあった。
ところがちゃーちゃんは、キャリーバッグから出されるやいなや、
怯えて部屋中を走り回り、お風呂に逃げ込んでしまった。
家ではあんなに懐いていた子なのに・・・どうしたんだろう?

私はちゃーちゃんを捕まえるとこう言って聞かせた。


ちゃーちゃん、

ここがお前のおうちなんだよ

この人が新しいお母さんになるんだよ

この家でいい子にしてかわいがってもらうんだよ!


この里親さんを逃したら、もうこの子をもらってくれる人は現れないかもしれない、
ちゃーちゃんをとりあえずゲージに入れ、奥さんにお願いして、
祈るような気持ちで帰ってきた。



その日の夕方、里親さんからメールが来た。

「ゴロゴロいってかなりかわいいです。今こたつの中で遊んでいます」

えっ?・・・・あああっ、そう。
なんだか肩透かしだが、ま、それならいいや。
猫というのはようわからん。



その後保護したやなぎさんが里親さんとちゃーちゃんに会いたいというので、
しばらくしてまた訪ねてみると、
今度はちゃーちゃんは私達から逃げ回り、抱っこも不可能。
「おおお、おばちゃんのこと、わすれちゃったの~?」

猫とはそういうものか。
名前は虎太郎(こたろう)という、勇ましい名前になっていたというのに。






猫おばさんのMさんから、またまた里親募集のお願いがあった。


DSCF0080.jpg

1匹は白黒ハチワレの女の子(右)、おばさんが餌やりをしている小学校に捨てられていたらしい。
もう1匹は同じく小学校に面したおうちで、猫8匹を飼っているTさんという人から頼まれた。
餌やりのMおばさんをいつもTさんが協力してくれていると言うので、
「2週間うちで里親募集しますが、もしも見つからなかったらお返しします」
という条件付きであずかったのだが、

それが白が多いミケの女の子。(左)

「ぢ、、、地味顔ねぇ~・・・」

子猫はたいがいどんな子猫でもかわいいものだけれど、
この子だけは内心「ブサイクだなぁ~・・・」と思った。
Tさんの前で口には出さなかったけど。

なにしろ耳がやたら大きくて、目は糸目。
鼻の周りに黒いシミがあって、まるで北島サブちゃんのモノマネメイクのようなのだ。
なぜこの子の目はぱっちり開かないのだろう?
その時は「こういう顔の猫なんだ」としか思わなかった。

2匹は初対面で初め「シャー」と威嚇したりしていたが、
すぐに子猫同士仲良しになった。
そして案の定、黒白のハチワレの子がもらわれていく。


ハチワレちゃんは「みくちゃん」というそれはそれはかわいらしい名前をつけてもらった。
里親さんが獣医さんで「手入れのいい猫だねぇと言われました」と報告してくれた時、
なぜか嬉しくて泣けてきたのだった。


そして売れ残ったブサイクなミケはうちの子になっていく。

DSCF0105.jpg
「みくちゃん」



この2匹がいる時、大事件が起こった。

うちの子として置いていた「ハル」という1歳のオス猫を死なせてしまったのだ。
私の不注意で、、、、とてもむごい死なせ方をしてしまった。

ブサイクなミケをうちで引き取ったのは・・・ハルの代わりとしてだった。





売れ残った糸目の三毛。

ハルを死なせてしまったことは、、、
私にとってはまるで拷問のようなひどい仕打ちだった。
なぜこんな思いをしなければならないのだろう、、、

たとえばわが子を自分の不注意で死なせてしまった母親がいるとしたら、
そんな辛い人生はないだろう。


神様がまるで
「死んだ子の代わりにこの三毛の子を引き取りなさい」
と言っているような気がした。



Tさんに「約束の期間が過ぎたけれど、三毛ちゃんの里親さんが見つかりませんでした」
とお電話すると、
当初お返しする約束だったので、
当然Tさんは、「それでは返してください」と言ってくると思っていた。

ところがTさんは私が引き取りの相談をする前に、
「けむさんのところは猫ちゃん3匹だけなんですよね!?
 うちには8匹も猫がいて・・・その子がくるとなぜかうちの子がみんな家出しちゃうのよ。

 お宅で飼っていただけないかしら?」

と言い出した。


「ちょっと待ってください、それじゃあ約束が違うじゃないですか。
 里親さんが見つからなかった返すって・・・」

「でもねぇ、お宅は3匹でしょ。うちには8匹もいて・・・・」


引き取るつもりはあったものの、そう言われて腹が立った。
Tさんは鼻っからこの子を私に押し付けるつもりだったのだ。


「わかりました、この子はうちの子にします!」


8匹の飼い猫がいてMさんの餌やりにも協力してくれるTさんと、
いざこざを起こしたところでなんのメリットもない。
その代わり、今後もMさんに協力してやっていただきたいとお願いし、
私が引き下がったが・・・・なんとなく腑に落ちなかった。




ハルの代わりに来たブサイクな子猫。
当初ハルから1字をとって「ハナ」と名づける。

しかし神がかった才能のある(?)私の従妹から、

「おねえちゃん、ハナちゃんだと名前が弱いよ。もっと強い名前に変えた方がいいよ」

と言われ、「ナナ」 に改名する。


不思議なことに糸目だった子猫の目はうちの子に決めた途端、
パッチリと開いて、徐々にかわいらしくなっていったのだ。

hana.jpg


しかもナナは他に類を見ない特別な才のある猫だった。

大きくなった猫を里子に出すことを、当時の私はあきらめていた。
しかし大きくなっても性格のいい子は充分里子に出せる。
どんな人が訪ねてきても、誰に対しても臆することなく出迎るナナを、
欲しいと言ってくれた人がその後何人か現れたのだが、
そのたびに「すみません、この子はうちの子なので」と断った。


この子にはハルを死なせてまでうちに来た意味が、
何かあるに違いないと思えて仕方なくて、
ついぞ誰にも渡すことはしなかったのだ。






時々そういった電話があるのだが、
見知らぬ人からのヘルプ。
私は家の前にしっちゅう「里親募集中」のポスターを張り出してあるために、
携帯番号はあけっぴろげ~~
猫を見せて欲しいという電話かと思い喜んで出てみると、
「猫拾っちゃったんですが~」とか、
「こちらで猫預かってくれるって聞いたんですが~」とか、
そんな内容のことが多い。
しぶしぶ「いいえうちは普通のうちです、猫は預かれません、がんばってください」
みたいなことをお話しする。

その時も「助けてやって欲しい」という電話が突然来た。
よくよく聞くと、近所の畑に親猫と子猫が出没してて、
畑の持ち主が捕まえて保健所へ連れて行くと息巻いている、
なんとかしたいがどうしたものか、という内容だった。

当然ながら①親猫は捕獲して避妊手術、②子猫は捕獲して里親探し
とお話しすると、
それらをすべて自分達でやるので方法を教えて欲しい、というのだ。
結局お手伝いすることに。(捕獲器貸し出し)


学習塾をやっているお宅だった。
塾をやっている関係上、生徒にアレルギーの子がいることを心配して、
そこのお宅では猫は飼えないという。
ただし、今まで餌をやってきた責任は取って、親猫は手術後も庭で餌をやりますと。
そうしていちばん最初に捕まえたのが、キジ白猫の男の子。
名前はよっちゃん。
子猫は4匹いて、4番目に姿を現した子だから「よっちゃん」。
四足ともソックスはいている。



捕獲に手間取って、子猫達はもう4ヶ月ほどだった。
しまった、しろうとはこういうところで焦りを知らない。
大きくなった猫は里親さんを探すのが大変だっていうのに。
しかしタイミングよく、以前ドラッグストアに貼りっぱなしにしてあったポスターを見て、
問い合わせてきた親子を紹介してもらった。
聞けば「別に小さい子にこだわってはいない」というではないか。
早速お見合いしてもらった。

よっちゃんは塾で捕獲したあと、1週間ゲージに入れ人馴れをしてもらった。
普通4ヶ月も大きくなった子を、1週間で慣らすのも大変なのだが、
そこのお宅で毎日ご飯をもらっていたせいか、おどおどながらも慣れていた。



そちらのおかあさんにも抱っこされてくれた。
一緒に来た小学生5年生くらいであろう息子に、そのおかあさんが、
「どう?この子でいい?」と聞くと、男の子は「いいよっ」と軽く返答。
「あんた一生面倒見なきゃならないのに、そんな簡単に返事して~」と苦笑するおかあさん。
その場で決めて、その日によっちゃんを連れて帰ってくれた。

普通は「お届けします」と言うところだが、お人柄は間違いない親子ではあるし、
そんな面倒なこといって話がこじれたら大変と思い、連れ帰ってもらった!
あ~~~ラッキーぃっ!!!
こんなに早く決まるなんて~~~!!!



しばらくしてその里親さんから来たメールには、
お布団の上ですっかり家猫になったよっちゃんが!



驚きの姿だった。

そしてもうひとつ驚きの事実を知った。
あの小学5年生くらいの男の子、猫アレルギーだったのだ。
それでも猫が好きで、
「なんとか共存しています」とメールには書いてあった。
アレルギーの子供のために里親を探した塾の猫、
それをもらってくれたのが猫アレルギーの子供とその母親だなんて。

なんだか皮肉な結末。。。。。
その複雑な思いを飲み込んだ私だった。


現在の名前「くまちゃん」
2009/10







よっちゃんが4番目に出てきた猫なら、いっちゃんは一番最初に現われた猫。
サビの女の子、よっちゃんから1週間遅れで捕獲し、うちに連れて来た。
10月の初旬くらいだった。




この子も最初は固まっていたが、よっちゃん同様攻撃的なところはまるでなく、
とてもおとなしくて抱っこもさせてくれる。(尻尾は思い切りお腹にまるまっているが)
やがてだんだんと慣れてくると、穏やかで人が好きな子だというのがわかってきた。

抱っこをする度にグルグルと喉を鳴らすので、まるで持ち上げると音の出るお人形のようだった。

膝に乗せればいつまでもずっと膝の上で、ゴロゴロとくつろいでくれる。
サビ柄は表情がわかりにくく、一般的にはあまり人気はないのだが、
見かたによればその毛並みがぬいぐるみのようにも見える。

かわいいいっちゃん、いっちゃんは癒しの猫だった。

いっちゃんもすでに5ヶ月齢ではあったが、この子なら絶対かわいがってもらえる。
自信を持って人に勧められる。
私はいつものように、家の前のポスター・愛護館の掲示板・ネットなどひと通りのことはやったが、
やはり多少大きくなっているせいか、なかなか飼い主さんが現れない。
待っているだけではダメだ。
思い切って猫の営業に出ることにした。
可能性のありそうな知り合いにあたってみよう。





いっちゃんに遅れること1週間、三毛の女の子が捕まった。
塾の奥さんが名前を「ひなちゃん」と名づける。
はじめぴーぴー泣いてばかりいたことから名づけたんだそう。
(数字じゃなかった・笑)




ひなちゃんをうちに連れて来て、いっちゃんと同じゲージに入れると、
最初はお互いシャーフー言っていた。
塾のおうちの庭ではじゃれあっていたのに、忘れちゃったのかなぁ。

ひなちゃんもいっちゃんと同じく家猫修行をしたのだが、
驚いたことに、よっちゃん、いっちゃんとはまったく異な性格で、
何日経っても慣れてくれない。
じっと固まって抱っこは出来るものの、膝の上で撫でていて「いい調子~」などと思っていると、
途端に態度を翻し逃げてしまう。


う~~~ん、同じ兄弟姉妹でこうも違うものか。

ひなちゃんの怯えようやどうにも慣れない様子から、この子は家猫にせずリリースをしよう、と判断した。
ひなちゃんは女の子だったので、避妊手術をしてからのリリースだ。
もう体重はほぼ2.5キロほどになっていたので手術もできる。
手術後10日間塾の方で預かってもらい、抜糸は私がした。

しかしまた抜糸する時がまた大騒ぎ。
ひなちゃん大暴れで・・・・猫が本気になって暴れるとそりゃ~恐いです。
大人ふたりで押さえつけ、顔にタオル、3人がかりでやっとのことで抜糸成功。


今は放されて塾の外猫となり、毎日ご飯を食べに来ている。
私がつけてあげた100均の首輪をつけて。
もう1匹の兄弟、黒猫のオスのさんちゃん(3番目の猫)と一緒に、
毎日遊びまわっていると塾のご夫婦から聞いている。
ご飯の心配はない、塾のご夫婦がちゃんと面倒見てくれるし、
猫ハウスも作ってもらって、冬はホットカーペットもしいてもらっている。

里親さんを見つけてあげることはできなかったけど、
よかったよかった・・・ひなちゃんはこれでよかったんだよね。。。





私はいっちゃんを知り合いに売り込む作戦を立ててみた。




ターゲットにしたのは会社の先輩の「あやめさん」。
あやめさんは独身ですでに定年退職し、高齢のおかあさんと二人暮らしだ。
会社の勤続○周年のハワイ旅行で一緒になって、
不思議なキャラのあやめさんと親しくなったのだ。

聞くところによるとおうちも自宅だし・・・
ほかになんの用事もなかったが電話をしてみた。

「猫を見てほしいんだけど」と(猫連れで)おうちに遊びに行きたいことを話すと、
じゃあ今日にでもいらっしゃいと言ってくれて、
ついでにご飯も食べて行ったら、とお誘いいただいた。
内心(これは脈があるかも!)と浮かれて出かけた。


以前からなんとなくわかっていたけれど・・・あやめさんは実にアナログな人だ。

あやめさんのおうちは昔花屋をやっていたらしい。
そのなごりで玄関はひと部屋分土間になっていて、
その土間の次の部屋が92歳になるあやめさんのおかあさんの寝室兼居間、
その奥がダイニングキッチンと続いている。
あやめさんのおかあさんは要介護の人で、
2階もあるらしいけれど、あやめさんはおかあさんの介護をするために、
1階のおかあさんの寝室兼居間で寝起きしているという。
その部屋で私たち3人はご飯を食べた。

いっちゃんは初めての人には人見知りするため、
キャリーバッグから出すとすぐに土間の下にもぐりこんでしまった。
その土間はというと、隅に段ボールの空き箱が天井まで積み上がっているので、
いっちゃんを探すために段ボールをよけなければならなかった。
私がダンボールを持ち上げると、不思議なことにその段ボールはすべて空き箱だった。

0000 033


「(素朴な疑問)・・この段ボールってつぶさないの?」と私が聞くと、
意外な答えが返ってきた。

「それは皆親しい人からいただいたものの空き箱なの。
箱を見ると送ってくれた人といただいたものを思い出すものだから、
それを見ていつも励みにしているの、
あ~あの人がアレを送ってくれたなぁ~って。
だからそのまま置いてあるの」


・・・・・・(絶句)

そんなこと言ってたらこの家は段ボールに占領されて人が暮らせなくなります。


はたまたこんなことも。
92歳のおかあさんにはお医者様からの勧めもあり、毎日500ml×3本位のお茶を飲ませるようにしていると言う。
そのお茶の飲ませ方というのが、すべて湯呑みからカレースプーンで口に運んでいるのだ。
「だからすごく時間がかかるの」

イマドキの介護用コップみたいなものを使わないのか?


携帯電話も持っているけど、家にいる時は電源を切っているというし、
今日だっておうちに着く直前に携帯へ電話しても通じないからどうしたのかと思ったら、
途中まで迎えに来てくれていた。携帯持たずに・・・・

それだけじゃない、あげればキリがない、
不思議人間なんだあやめさんは。


さりげなく猫を飼わないかと切り出してみると、
「とんでもない、この人(おかあさん)の世話だけで大変なのに、
猫ちゃんの世話までできないわよ~」とあっさり断られた。
私が「猫を連れて行く」と言ったことにまったく何も感じていなかったらしい

介護についてもアナログにこなすあやめさんには、確かに毎日のおかあさんのお世話は大変なんだろう。
そんな人に介護を経験していない私は何も言えない立場なんだけど・・・

でも、だからこそ、猫を飼って欲しいんだな。
猫の世話などたいしたことはない。
ご飯と水とトイレの始末。
人間のお世話に比べたら無に等しい。
でもこのおうちの隅っこに温かい生き物がたたずんでいたら、
あやめさんは1日の終わりにほっとできると思う。
その温かいものが膝の上にいてそれをなでるだけで、
あやめさんの疲れが消えていくと思う。

でもおかあさんのことでいっぱいいっぱいなあやめさんには、
別のやすらぎを期待する余地さえない。

「時々この人を車椅子に乗せて出かける時があって、
 ワンちゃんに洋服着せて散歩させている人を見かけるんだけど、
 よくあんなマメなことができるなぁって思う。
 ワンちゃんにそこまで手をかけられるなら、人間のお世話を手伝って欲しいわーって思うのよね。」

その言葉はあやめさんの心の負担を物語っていた。



その日私はいっちゃんを連れて帰った。
いつかあやめさんがおかあさんから開放された時に、
もう一度猫をすすめてみてもいいかもしれない。
でも今日あやめさんと話しができてよかった。

また時々あやめさんを訪ねて来てみよう。
そしてあやめさんの話を聞いてあげよう。



(※文中の名前はすべて仮名です)









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